【募集企画】東方幻想記録物語 ２巻

居場所　畔 ページ34

ようやく笑いが止まり深呼吸をする。
「そう言えば…ちゃんと自己紹介してねぇよな？」
振り返り後ろにいる珠城を見る。
(っ……！)
珠城の暗い表情を私は見てしまった。
「＿＿＿。」
誰にも聞こえない音量で呟く。
＿＿＿ガイトに似てる。
此処に来た時のガイトは誰かを見ては悲しい表情になっていた事を思い出す。
理由は確か……。
「……さん？ 畔さん！」
「えっ！？……な、何だ？」
いつの間にか私は立ち止まり、顎に手を当てて考え込んでいたようだった。
「大丈夫ですか？」
「あ、あぁ。」
珠城が笑顔で手を差し出す。
「？」
「ちゃんと自己紹介してませんよね？俺は阿野永珠城です。」
私は差し出された手を握り今度は真面目に自己紹介をする。
「私は“天才”の仲西畔だ。よろしくな！
単純な珠城くん♪」
「なっ！！」
珠城は再びフリーズ状態になる。

そんな彼を見ていると何故かガイトの事ばかり思い出す。
ほら、また思い出した。
ガイトが悲しい表情になる理由
それは多分、珠城と一緒だ。
あと……私とも一緒かな？


居場所が無い。
助けてくれる人が居ない。
生きていてはいけない。

これがガイトの理由。
私はガイトの理由と、あともう一つある。


私の手によって隣で生きている人が居なくなってしまう。
恐怖。


それが私の理由だ。

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