42 ページ42
.
心配してるだけって言うのに…
険しい眉間で投げ捨てられた言葉。
弱った心には容易く
その棘がズブズブ刺さった。
最後見たその表情は
何故か淋しげな色を瞳に宿して。
一人で前を歩いていても
落ちそうな涙を堪えてても
ずっと脳裏に焼き付いて離れなくて。
誘って入った公園でやっと。
私は少しずつ…
落ち着きを取り戻していった。
あの怒ったような態度は
こんな私を心配してくれてのこと。
遅すぎるけど、
この状態になってやっと理解した。
ただ臣さんの瞳は、今だ寂しげで。
私を見つめてるのに
視線は何処か遠くにある気がして。
髪をくしゃくしゃされた時、
臣さんが魅せたその笑顔。
それはいつもの微笑は口角に潜んでいなくて。
臣さんって…
本当はこんな風に笑うんだ…
頬をくしゃっと寄せて、
小さな歯と小さなえくぼが可愛くて。
臣さんに対して頑なに保ってた距離が
ゆるゆると…近づいて。
無駄な力も解けていった。
私達はいつしか同じ夜空を見上げていて。
月が少し欠けてるのはきっと…
臣さん近づけた分なのかな…
そんな事を考えながら
私が物思いに浸っていると。
臣「……俺、変わるから」
突然…どうしたんだろう…
臣「……いや、その前に、中途半端なこと片す。
返事来ないけど、
待ってるだけじゃいつまでも終わんないし」
きっと私には分からない、
その何かと葛藤してるんだろうと思って。
「頑張って下さい…臣さん」
そう告げて、
また月を眺めてた。
両頬に感じる、
手の形だけの熱。
ぐっと引き寄せられて
コツン、と触れあう額。
臣「意味わかって…ないでしょ」
吐息交じりの声が
私の唇をくすぐって
切れ長の瞳が虚ろに伏せて
今度はその顔が角度を変える。
その先を想像した身体は
簡単に動かなくなって……
.
臣「あーーー！」
その絶叫に似た声に
心臓がびくっと跳ねた。
臣「ごめん…まじでごめん。許して。
これは違う、これは俺じゃない」
「は…は…は…い」
力の抜けた身体は
力の抜けた声しか出ない。
自分の心臓をぎゅうっと押さえ込むと。
聞こえてしまいそうな程、
ドクドク…うるさく鳴ってた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 753人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sana(プロフ) - のぞみさん» ｷｭﾝｷｭﾝ落ちてたようで安心しましたっ(*´ｪ`*)毎日…はふ…鼻血が…(*´ω｀*)笑 応援なんてそんな…本当感謝です(T_T)！！ (2015年9月20日 22時) (
レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - きゃなさん» 隆二さんにｷｭﾝｷｭﾝありがとうございますっ(*^^*)♪まだ第三章の移行準備出来てなくてごめんなさいっ！その言葉で力がみなぎりますっ(:_;)！！ (2015年9月20日 22時) (レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - キュンキュンが止まりません！本当毎日楽しみにしている小説です！これからも応援しています！ (2015年9月20日 8時) (レス) id: bea0b9fdde (このIDを非表示/違反報告)
きゃな(プロフ) - もうほんとに隆二くんにキュンキュンが止まりません！続きめちゃめちゃ楽しみにしてます！ (2015年9月19日 17時) (レス) id: 4ad988ee63 (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - ゆきさん» ｷｭﾝｷｭﾝ嬉しいですっ(*´ω｀*)♪詰め寄ってごめんなさい。笑 頑張って早く書き綴りますっ！19時の謎、隆二さんの優しさ溢れてしまいそうですっ(*´ｪ`*)！天然故、いらん事も第三章でポロリ発言しちゃいますっ笑 (2015年9月19日 8時) (レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sana | 作成日時：2015年8月28日 20時
