34 ページ34
.
温かいというより…
熱くて…じわっとした体温を感じる。
隆二さんが腰を下ろしたまま、
私の手の平を掴んで。
それをそっと胸にあてられてる。
硬い筋肉質な胸板の奥。
それはドクっドクっ…と
リズムを刻んでいて…
私の胸もいつの間にか共鳴し始めて。
隆二さんはそのまま、
ただ何も言わず
熱っぽい視線で私を見上げるだけで…
沈黙の中…
絡み合う互いの視線……
この空間だけ時間が止まったような気がして…
鳴り止まない鼓動はやがて
鼓膜まで響いていく…
.
隆「あと5分だけ………傍に居て…」
熱に侵された私は…
無意識にコクン…と頷いていた。
何故か一枚の布団の中で
端と端に佇む私達。
「隆二さんベッドで寝てください」
「5分ここで横になって？俺は床に座る」
「じゃもう帰り」
「やだ」
「だって」
「5分だけ…傍に居てくれるんでしょ」
「でも…」
「お互い頑固だね」
隆二さんが最後にゆるっと笑って、
5分だけ…の言葉に折れて布団にそっと入る。
隆二さんも私の言葉に折れて
布団に恐る恐る入った。
電気も消えて真っ暗な分、
感覚やら聴覚やらが研ぎ澄まされてる。
傍にいてって…全然傍じゃない。
私の後ろ背のずっと遠くに隆二さんが居る。
男の人と布団の中に一緒にいる。
凝視されてるはずなんてないのに、
背中がやけに熱い。
心臓も苦しいほど活発に動いてる。
じっとしていられなくて
もぞもぞ寝返りを打つ。
隆二さんも落ち着かない様子でひっきりなしに
布の擦れる音が聞こえる。
耐えられない…
もう5分経った？
もういいかな？
隆「……まだ…まだだよ」
心で留めてたはずの言葉が出てた…
小さく、はい…と漏らす。
やがて、隆二さんの動きが止まって。
もしかして寝たのかなって…
「私…こんなんじゃ寝れ…っ…隆二…さん…」
5分経った…で良いかな…
鍵閉められないけど…しょうがな…
「……っ！」
熱い背中にさらに熱が加わって
重い腕が後ろから降りてくる。
甘美な香りに包まれて
耳元に僅かな吐息を感じて。
隆「……俺も………寝れない……よ」
苦しいくらい後ろからぎゅっと抱き寄せられた。
密着した背中に鼓動が伝わってくる。
自分の心臓と後ろの心臓に板挟み。
今日の隆二さん…
やっぱり何か…変だよ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 753人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sana(プロフ) - のぞみさん» ｷｭﾝｷｭﾝ落ちてたようで安心しましたっ(*´ｪ`*)毎日…はふ…鼻血が…(*´ω｀*)笑 応援なんてそんな…本当感謝です(T_T)！！ (2015年9月20日 22時) (
レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - きゃなさん» 隆二さんにｷｭﾝｷｭﾝありがとうございますっ(*^^*)♪まだ第三章の移行準備出来てなくてごめんなさいっ！その言葉で力がみなぎりますっ(:_;)！！ (2015年9月20日 22時) (レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - キュンキュンが止まりません！本当毎日楽しみにしている小説です！これからも応援しています！ (2015年9月20日 8時) (レス) id: bea0b9fdde (このIDを非表示/違反報告)
きゃな(プロフ) - もうほんとに隆二くんにキュンキュンが止まりません！続きめちゃめちゃ楽しみにしてます！ (2015年9月19日 17時) (レス) id: 4ad988ee63 (このIDを非表示/違反報告)
sana(プロフ) - ゆきさん» ｷｭﾝｷｭﾝ嬉しいですっ(*´ω｀*)♪詰め寄ってごめんなさい。笑 頑張って早く書き綴りますっ！19時の謎、隆二さんの優しさ溢れてしまいそうですっ(*´ｪ`*)！天然故、いらん事も第三章でポロリ発言しちゃいますっ笑 (2015年9月19日 8時) (レス) id: ce7a44bede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sana | 作成日時：2015年8月28日 20時
