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先生は諏訪さんに視線を流した。
「じゃあ話し合いをする前に、諏訪がなんの情報を持ってるのか確かめてからに」
「だから知らないって言ってんでしょ!」
諏訪さんは鞄を机に叩きつけた。
大きな目が威嚇するように先生を睨みつける。
でも見開かれたその目は、何かに怯えているようにも見えた。
先生はゆっくりと口を開く。
「そんなに喜志が怖いか?
それとも喜志のおかげで手に入れた名声を失うのが怖いか?」
「…そうだよ。
喜志を裏切って今の地位を失いたくない。
それの何が悪いの?」
その後の諏訪さん、甲斐君の言葉で、
喜志というのがベルムズというグループのリーダーであること。
ベルムズがフェイク動画を作ったこと。
諏訪さんが喜志のおかげでモデルとして今の地位を築いていたことを知った。
「私は悪くない」
諏訪さんは言った。
自分に言い聞かせるようだった。
諏訪さんと目が合った。
合ってしまった、と言う方が正しいかもしれない。
諏訪さんの顔が怒りに歪んだ。
「…何その目。笑いたきゃ笑えば?
偽りの力にしがみついてみっともないって!
むかつくんだよ!
あの女も、あんたも!
ブレずに真っ直ぐで、いつも自分が正しいって顔して。
どうせ今まで、何の後悔もせずに突っ走ってきたんでしょ!?
あんたなんかには分かんない!!
自分が間違ってることくらい分かってる。
でも私はこうやって生きてきたから!
こうやって生きるしかなかったから!!」
諏訪さんは刺すような目で私を見た。
…思い出した。
私が先生を庇った時も、諏訪さんはこんな目で私を睨んでいた。
あの時からずっと、この人は私が気に食わなかったんだ。
嫌いだったんだ。
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さな×りお(プロフ) - 緑えいたぁーさん» えぇ…ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです更新頑張ります! (2019年5月3日 20時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
緑えいたぁー(プロフ) - さなさんとりおさんの書くお話が大好きです!いつも楽しみにしています!もしかしたら歳近いんじゃないかな〜って思ったりしたりしなかったり…御二人のファンとしてずっーと応援してます! (2019年5月2日 22時) (レス) id: 847f0c09f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月24日 22時