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「ねえそんなことより早く投稿者探した方がよくない？」
男子達が後ろで相談するのを横目に、女子達は教卓に集まっていた。
「でもこいつガチの変態だよ」
黒板に貼られた、やり逃げXの投稿を見る。
《あの女をめちゃくちゃにしてやりたい》
《あいつが苦しむ姿を見ると興奮する》
「こんな投稿バレたら生きていけないね」
「しかも偽の動画なんか流して。最低だよ」
なんというか、言いたい放題だ。
この教室の中に張本人がいるというのに。
宇佐美さんは会話に加わらずに、みんなの言葉を聞いていた。
いつも積極的に発言している印象があったけれど、今はやけに静かで大人しい。
宇佐美さんの視線が、さくらへと流れる。
さくらはやり逃げXの投稿をじっと見つめていた。
「…さくら、大丈夫？」
さくらからしたら、景山さんの悪口が黒板に晒されているのはいい気がしないだろう。
「前に澪奈が、プールに上履きを落としちゃったって言ってたの」
さくらの視線を辿る。
《あの女の上履きをトイレの水に浸してやった》
「よく考えたら、そんなのありえない。
あの時、澪奈は多分、私に心配掛けないように…なのに私は全然気づかないで、記念に1枚、って写真を撮った。
あの時、私がちゃんと気づいてあげれば…」
震えるさくらの肩を、私はよしよしとさすった。
「それは景山さんが隠すの上手かったんだよ。さくらのせいじゃない」
だからさくら。
自分を責めないで。
そんな思いが届いたのかは分からなかったけれど、さくらはそれ以上何も言わなかった。
さくらは水色のタオルを取り出した。
てんとう虫のアップリケがついている。
それを見た宇佐美さんの目が見開かれた。
「ねえ、それ誰から貰ったの？」
その声は、訊く前から答えを知っているようだった。
「…澪奈から」
宇佐美さんは表情を変えなかった。
でも何故だろう。
どうして、と悲痛な叫びが聞こえた気がした。
宇佐美さんは軽く頷くと、教室を出て行った。
何か言いたげだったさくらは、口を僅かに開いて困った顔をしている。
「どうしたのさくら」
呼び掛けると、さくらは縋るような目で私を見た。
「このタオルくれた時にね、澪奈が……」
そしてさくらは話した。
景山さんが言っていた言葉。
それを聞いた私は、さくらの手を取って椅子から立たせた。
「行こ。宇佐美さん追いかけよう」
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…！ありがとうございます!!とっても励みになります！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……！いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています！ (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月7日 13時
