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3-終 ページ43

そのままぐい、と引き寄せられる。

「えっ」

「ついて来い」

すぐ横で、先生の声がした。

目隠しが外される。
開けた視界に、先生の顔が映った。
真正面で目が合う。

「先生…?」

横を見ると、中尾君がみんなを連れて美術準備室の中に入っていくのが見えた。

「なかっ…むぐ」

中尾君の名前を呼ぼうとして、先生に手で口を塞がれる。

「ちょっと静かにしてて」

先生はそう言うと、準備室に入っていく。

やっぱり、中尾君は死んでなかった。
その事実が胸を震わせた。

色んな物を腕に抱えて、先生は美術室に戻ってきた。
模造品の腕や足だった。
それらを机や床に撒いて行く。
これは…みんなに犠牲者が本当に死んだと思わせるため?

ぼんやりとそんなことを考えていると、腕をぐいと引っ張られた。

「わっ」

つんのめって、先生の胸に飛び込む形になる。
抗議の声を上げようと先生を見ると、

先生がリモコンを押して、天井が爆発した。

瓦礫が偽物の手足に落ちて、そこは一瞬にして悲惨な現場に成り変わる。

「先生、これは」

「静かにしてって言っただろ」

叱るようだったけど、穏やかな口調だった。

先生を見上げる。
先生の目は口調同様穏やかで、心底ほっとした。

先生は、私の腕を引いて歩き出す。
私は大人しく先生のあとに続き、準備室に入っていった。

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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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