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「来い」

先生は銃口を向けて命令する。
先頭に立って、教室の外へと歩く。

壁際のさくらと目が合った。
さくらはその目いっぱいに涙を溜めていた。

多分無意識なんだろう、私の方へさくらの手が伸びる。

私はその手を取らなかった。
大丈夫だといらうように気丈に微笑んで見せた。
私は先生を信じると決めている。


全員が廊下に出ると、教室の扉が閉められた。

美術室に入る。

「並べ」

低い声で命じられる。
水道の前に一列になって並ぶ。

先生は銃口を私達に向けたままだ。

引き金に掛かった指に少しでも力を込めたら、私達は死ぬ。

怖い。

この美術室で先生と何度も会って、話をして、笑い合った。
でも、こんな表情の先生は知らない。
私に銃口を向ける先生の姿なんて、想像したこともなかった。

怖い。

けど、

私は信じるって決めたんだ。

無表情の先生の顔を、正面から見返してやる。

先生と視線が交錯する。

冷徹な視線が私を射抜く。
負けじと睨み返す。


先生の瞳の力が、ふっと抜けた。

「目隠しをしろ」

銃口が逸らされ、赤い布が放られる。

「え」

困惑して先生を見上げる私に、先生は「早くしろ」と催促する。

仕方なく言われた通りにする。
真っ暗な視界の中、先生の声だけが明瞭に響く。

「お互い手を繋げ」

意味が分からなかった。
けど、言われた通りにするしかない。
隣にいる里見君の手を取ろうと右手を伸ばして、

反対の手を誰かに掴まれた。

3-終→←3-16



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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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