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宇佐美さんと入れ替わるように、甲斐君達が現れる。
手には爆破の残骸から拾ってきたんだろう、鉄の棒や瓦礫を持っている。
すっと背筋が冷えた。
「あいつまだ中にいるか？」
「いるよ」
諏訪さんは顎で男子トイレを指した。
甲斐君達が中へ入っていく。
「…え、ちょっと待って。何するつもり」
「ブッキーからリモコン奪うの。
静かにしてて、気づかれるから」
諏訪さんに一睨みされ、私とさくらは押し黙るしかなかった。
先生は喧嘩強いし、甲斐君達に負けることはないだろう。
だから大丈夫。
頭ではそう分かっているけれど、心臓はバクバクと脈打っていた。
中から先生達が争う喧騒が聞こえてくる。
ゴン、と鈍い音がした。
音がした、と耳が認識すると同時に、私は駆け出していた。
「A！」
さくらの制止を振り切って中に入る。
甲斐君が先生を見下ろし、先生は蹲っていた。
先生の額から血が流れている。
それを見た瞬間、頭が真っ白になった。
「これで終わりだ！」
甲斐君が鉄棒を振り上げる。
「やめて！！」
私は甲斐君のブレザーを掴んで一生懸命引き留めた。
「何すんだてめぇ！」
甲斐君の注意が私にそれた一瞬で、先生は反撃に出た。
甲斐君を蹴り倒し、残りの2人も難なく戦闘不能にする。
甲斐君が持っていた鉄棒を奪い、先生はトイレを出ていく。
甲斐君が刺すような目で私を見ていた。
憎悪に煮えたぎった視線から逃げるように、
私も先生のあとを追ってトイレを出る。
廊下に出ると、
「ざんねーん！」
先生の声がして、破裂音が響いた。
急いで美術室に入る。
鉄棒を片手に先生は兵頭君達と対峙していた。
先生が薙ぎ倒したんだろう、画材が床に散らばっている。
「次何かアクションを起こしたら、ペナルティだからな」
先生は荒い息をつきながら警告した。
手に鉄棒を持ち、額から血を流した先生の姿は壮絶だった。
「おらどけ」と兵頭君達を散らしながら美術準備室に入っていく。
先生のあとを追いかけようとして、
「あんた…どういうつもり？」
諏訪さんに肩を掴まれた。
振り返ると、諏訪さんが私を睨みつけていた。
刺すような目が、私のことを射抜いていた。
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…！ありがとうございます!!とっても励みになります！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……！いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています！ (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月7日 13時
