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今日の朝ごはんはパンだった。
1袋に小さめのパンが2つ。
それに牛乳がついて1人分。
どんよりした空気が漂っている。
どんよりの中心は甲斐君だった。
不機嫌さを隠そうともせず、仏頂面で椅子に座っている。
隣のさくらは、もそもそとパンを食べていた。
ガタッと誰かが立つ音がした。
威嚇するように足音を響かせて、こちらに向かって歩いてくる。
水越さんはさくらの前に仁王立ちすると、
さくらが持っているパンを薙ぎ払った。
「許さない」
水越さんは忌々しげにさくらを見た。
「あんたが答えを外さなきゃ蓮は死なずに済んだ」
私は飛ばされたパンを回収しにいく。
彼氏が殺されたんだ。悲しいのは分かる。
でもさくらに怒りの矛先を向けるのは理解できなかった。
見当違いもいいところだ。
拾ってくれた真壁君からパンを受け取って、
私は水越さんに向き直った。
「そんなの逆恨みだよ」
「部外者は黙ってて！」
水越さんは私の手にあるパンを叩き落とした。
このパンになんの恨みがあるんだ。
「あんたのせいで！」
さくらに掴みかかろうとする水越さんを周りの男子が取り押さえる。
「あんたのせいで蓮は死んだんだよ！！」
水越さんの叫びに、さくらは目を伏せた。
その姿に胸が詰まった。
悪くない人を、悪者にしないで。
自分のせいでもないことに傷ついているさくらを見ていられなくて、声を掛ける。
「さくらのせいじゃないからね」
私はさくらの目をしっかりと見た。
「どう考えてもさくらは悪くない。
こんなことで一々自分を責めてたら、心が持たないよ」
言い聞かせるように話す私を、さくらはじっと見つめていた。
そしてこくりと頷いた。
こんなこと、とわざと言った。
人質にされているこんな環境で、
しかも昨日、自分の辛い過去と向き合ったばかりなのに。
これ以上さくらの心に傷を負わせたくなかった。
だって自分を責めるのは、凄く苦しいし、凄く疲れる。心が削られていく。
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…！ありがとうございます!!とっても励みになります！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……！いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています！ (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月7日 13時
