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「はいもっと笑ってー!嬉しそうにー!」
私達は今、朝っぱらからダンスを踊っている。いや踊らされている。
この学校のダンスは結構、かなり本格的で、骨の髄まで文化系の私にはきつい。
考案者は武智先生だとか。武智許すまじ。
隣のさくらを見ると、頬を引き攣らせながらもなんとか笑っていた。他の人もそんな感じだろう。多分私も。
軽快な音楽に合わせて踊る、29人の人質。
それはとても異様な光景だった。
「大切なのは、想像力だー!」
両手を挙げて叫ぶ先生。
思わず可愛いななんて思ってしまったけれど、
無理矢理に笑みを作る生徒達の前で、
そのハイテンションは明らかに浮いていた。
「ヘイヘイヘイヘイ、甲斐君どうした?」
甲斐君、踊ってないんだろうな。
机にもたれて不機嫌な顔で突っ立っている甲斐君が容易に想像できる。
そんな甲斐君にその口調じゃ、喧嘩を売ってるようにしか見えない。
「言ったろ想像力だよ。
お前が今踊らなかったら、みんながどうなるのか…
ばーん!!」
甲斐君の肩を叩く音がした。
「長生きしたいなら、体操はした方がいいよ」
ダブルミーニングの脅しだった。
「いいねえ甲斐君! キレてるキレてるぅ」
…踊ってるんだ。
甲斐君の心中を思うと気が気じゃなかった。
先生が去ったあとの教室の空気は、きっと最悪だ。
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時