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私は先生の後を追いかけた。
どうして、という思いが、胸の内に溢れていた。聞きたいことが山程あった。
美術室に入り、先生を呼び止める。
「先生」
先生の動きが止まった。
ゆっくりと、こちらを振り返る。
視線がぶつかった。
「どうして、こんな…」
先生が何か言おうと口を開いた時、
「どうして私なんですか?」
後ろから声がした。さくらだった。
さくらの解答1つに、生徒1人の命が掛かっている。さくらが感じるプレッシャーは計り知れないし、その質問は当然のものだった。
「茅野は景山と友達だっただろ」
「私なんか友達じゃありません。自 殺するちょっと前に手紙もらって…そこにも書いてありました」
「…え」
初耳だった。それに、信じられなかった。
景山さんがさくらに「友達じゃない」なんて。
「なんで手紙だったんだろうな」
「え?」とさくらが顔を上げる。
「いや、今時珍しいなと思って」
先生はさくらの目を見た。多分その言葉には意味があって、先生には私なんかより、よっぽど沢山のものが見えているんだろう。
「とにかく他の誰でもない、お前が答えるんだ」
そう言って、先生は準備室に入っていった。
一瞬、先生は私を見た。でも何も言ってくれなかった。先生の表情からは、何も読み取ることができなかった。
バタン、と音を立てて扉が閉まる。
私は扉を見つめたまま、しばらく動けなかった。
爆発が起きてからの、先生の言動を思い返す。
私の知っている柊先生とかけ離れていて、戸惑った。
私はこれから、どうすればいいんだろう。
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さな×りお(プロフ) - かなとさん» 指摘していただきありがとうございます。訂正いたしました。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月1日 16時) (レス) id: 977ff24faa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月1日 15時