1-終 ページ29
突然、サイレンの音がけたたましく鳴り響いた。
スっと先生の表情が消える。
「警察のみなさん言ったはずですよ。
大人しくしていなければ、
生徒達の命は保証しないと」
先生は顔を上げた。
「最初の犠牲者はお前だ」
先生の視線が、目の前の中尾君に定まる。
射抜かれた中尾君の表情は恐怖に塗り替えられた。
先生は中尾君を蹴り倒し、容易く気絶させる。
中尾君に跨り、ナイフを手にした。
先生まさか、本当に殺したりしませんよね…?
先生がナイフを振り上げる。
刃が蛍光灯の光を反射して煌めき、
「先生、待っ」
振り下ろされた。
先生は中尾君から退く。
中尾君の左胸に、ナイフが突き刺さっていた。
血が、制服に赤黒い染みを作る。
「嘘でしょ…?」
水越さんが中尾君に駆け寄る。
「蓮…? 蓮…!?」
悲痛な叫びが教室に響く。
「…ほんとに殺したのかよ」
甲斐君が先生を見た。
「ほんとに殺したのかって聞いてんだよ!? 」
先生は甲斐君を見据えた。
無言で。どもまでも無表情で。
それはどんな怒号よりも凄みがあって、
甲斐君の言葉が止まる。
先生は警察に呼び掛ける。
「これで、大人しくして頂けますか?
…それともまだ、死人を増やしますか?」
警察は撤退したんだろう。何かが起こる気配はなく、辺りは静寂に包まれた。
「今日の授業は、これで終わりだ。お疲れ様」
先生は中尾君を引きずって、教室を出ていった。
1人のクラスメイトが死んだ。
その事実に誰もが打ちのめされていた。
でも。
中尾君は死んでいない。
私はそう信じていた。
みんなに必死に訴えかけていた先生の姿が目に浮かぶ。
これから先何があったとしても、私は先生を信じる。
そう決意して、私は先生が消えたドアの向こうを見つめていた。
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さな×りお(プロフ) - かなとさん» 指摘していただきありがとうございます。訂正いたしました。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月1日 16時) (レス) id: 977ff24faa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月1日 15時