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「ですが、」
檻の外へと伸ばした手で、男の首にかかっていたネームカードの紐を強く引っ張る。引き寄せられた男の顔を睨みつけ、僕は言い放ったのだ。
「あんな気色悪い奴らと一緒なんかゴメンなんですよ。」
目を上げるとしっかりと視線が絡んだ。
「死にたくないとも思わない、そんなのおかしいと僕は思う。あなた方には、さぞ不都合で面倒なことでしょう。けど、知ったことじゃない。」
僕は笑ってみせた。櫻井の笑顔を真似た、気味の悪い笑みだ。
「...ねぇ。感情を持った〈僕〉があなたの思い通りに動くとお思いだったんですか、【 櫻井 英 】さん？」
檻の中へ引き込んだネームカードを読み上げ、浮かべた笑みが真似ではない僕自身の意地の悪い笑いへ変わったのを見届けるように、櫻井は黙っていた。
そして、絡んでいた視線をまばたきで切る。
「へぇ〜...学習機能は素晴らしいね。個体に煽られたのはこれが初めてだ」
僕が掴んでいた紐を人差し指で手繰り寄せる。その声はどこか嬉しそうにも聞こえた。
「君の答えは分かった。嫌悪感と嘲笑もね。
では、正式に君達の呼称をNM10、そしてAM1224とする。私は君達を見ているが、君達が私に会うことはもうないだろう」
「ふふっ、会いたくもありませんよ」
遠ざかる足音に向かって言い返すと、彼は盛大に笑った。
「ははは！はぁー愉快。生意気だねぇ。そうだ、気分が良いついでに、いいこと教えよう。」
扉が開いて部屋に光が入る。
彼は身体ごとこちらへ振り返ったが、暗闇に慣れきった目では、逆光になった彼の顔は見えなかった。
「君達はね、どう足掻いても生き残れはしない。君達がどんな風に死ぬか、楽しみだなァ。」
そして、再び重たく軋む音と共に、部屋は暗闇へと戻った。
「あっ、あっ...」
「えっ、あ、おいどーした？」
自分の足元をかえりみると、僕の服の腰あたりにかろうじて掴まったA型くんが腰を抜かしたように座り込んでいた。
同じ目線にしゃがみこむと、A型くんの涙でいっぱいの、今にも零れ落ちそうな瞳と目が合った。
「...怖かった？」
肩をポンポンと叩くと、ついにぐじゅぐじゅと泣き出してしまった。
「うんうん。今日はもう寝よう。な？」
二人で横になって、そのうち彼の寝息が聞こえ出し、自分にもやってきた微睡みの中で、檻の影が銀色の線として空中を漂い出すまで
僕は【櫻井 英】の言葉をずっと繰り返し思い出していた。
どうせ、死ぬのか。僕達。
続く (更新停止中)
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さなり(プロフ) - 渚さん» 渚さん！になられたんですね！コメありがとうございます、お久しぶりです！！やっと帰ってきたら書き方をすっかり忘れてしまいました...＼(^o^)／ これからまたゆっくり更新して行きます！よろしくお願いします！ (2017年3月25日 22時) (
レス) id: a13611bfe8 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - さなりさんお久しぶりです！元まなぱんでございます。更新楽しみに待っておりました！これからも拝見させていただきます！ (2017年3月24日 21時) (レス) id: ebb9cd134c (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - まなぱんさん» まなぱんさん！わぁーお久しぶりです！ 久々に届けた更新通知がタイトルの変更だけだったなんていう愚かな私をどうかお許しください...！ うう、ありがとうございます。受験生ツライですね、日々ストレスです(；；) お互いに頑張りましょう！健闘を祈って！！ (2016年7月18日 20時) (レス) id: a13611bfe8 (このIDを非表示/違反報告)
まなぱん(プロフ) - さなりさんお久しぶりです。受験頑張ってください!私も受験なので一緒に頑張りましょう! (2016年7月18日 19時) (レス) id: ee00c10666 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - あゆまま娘さん» あゆまま娘さんお久しぶりです！反応遅れてごめんなさい;; コメントは気がむいた時で構いませんよ！いつも励まされてます(*^^*) 最近忙しくて、息抜きでお話を考えてます...もっと時間が欲しい！ 今作も見届けていただけると嬉しいです！よろしくお願いします〜！ (2016年2月19日 15時) (レス) id: a13611bfe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さなり | 作成日時：2016年2月13日 2時
