44.じゆう [ Aside ] ページ44
二人の少年はオレたちを人の目から匿い、連れて帰った。
たどり着いたそこは大きな家。
「ここ、君の部屋ね」
ガラス窓から日光の差しこむ清潔そうな部屋。
でも。
ディーの背中から、ベッドに降ろされそうになった時、
「ひっ…いやだ…!!」
オレは恐怖を感じた。
白いベッドが、あのコードだらけの部屋を思い出させ。
また、あの痛みに襲われるんじゃないか…、と思ったから。
「いやだ！いたいのはやめて！ うぅっ……いやぁ…!! たすけてぇ……っ!!」
ディーの背中にしがみつき、泣きじゃくるオレを見て、
手袋を外した手で、少年がオレの頭とディーの背中を撫でながら目を閉じた。
「そっか…そっか……。」
小さく呟き、頷き。
次に、彼が目を開けると。
「、え…??」
その瞳は当時のオレには表現し得ないほど、美しい青色に輝いていた。
「大丈夫。
ここには、コードだらけの部屋はねぇし、君らを動けなくさせて、クスリを飲ませるような大人はどこにもいねぇよ。」
青の少年はゆっくりと柔らかい声で言った。
なんで知っているんだろうと、不思議に思ったけれど、その声と青い瞳に暖かみを感じて安心できた。
ディーの心も落ち着いていくのがわかった。
「…ほんとう？」
「うん。本当。」
「おり。おりは？
ぼくたちはおりのなかにいなくていいの？」
「うん。もう、あんな檻の中なんかにいなくていい。
そもそも、あの建物は全部、翔ちゃんがやり過ぎなくらい跡形もなく燃やしちゃったからさ」
そう言って、青の少年が振り返ると、
しょうちゃんは壁に寄りかかり、
肩をすくめて苦笑して言う。
「君たち二人も、あの大火事で死んだことになってる。
だから、誰も君たちを探したり、捕まえに来たりしない。
だから……
君たちは、自由だよ」
じゆう？
そっか、じゆう…なんだぁ……。
ディーの背中にしがみつく力を緩め、
代わりに優しく撫でる。
「ディー、きいた？」
『ああ、えーえむ。聞いたよ』
「ぼくたち、じゆう、だって…」
『自由、だな。……やったな』
「やったね。ディー。
じゆう。じゆう、って……
こんなに、うれしいんだね……」
45.へんななまえ [ Aside ]→←43.ひだるま [ Aside ]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 580人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カズ(プロフ) - 教えてください、ありがとうございます！早速続きを更新しようと思います。 (2014年12月17日 14時) (
レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» まずログインして続きを作りたい作品のページに行って、作品紹介の上辺りかページの最後辺りに「編集する」ってボタンがありませんか？そこをポチッっとすると続きを作れますよ。こ、これでいいでしょうか…?? (2014年12月14日 16時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 簡単に言うと一回更新をした後に、時間がたったときの二回目に更新をするときのやり方です。 (2014年12月14日 13時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 最初に更新をするじゃないですか。その後に一日二日たったときに更新をするのはどうすればいいですか？ (2014年12月14日 12時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» カズさん。いえいえ！お気になさらないでください(＊´∀`＊) …ごめんなさい。質問の意味がよく分からないのですが……(´・ω・`) あ、小説書き始められたのですね！楽しみにしています。 (2014年12月13日 17時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さなり | 作成日時：2014年7月19日 17時
