14.ビルの上にて [ Nside ] ページ14
ここは高層ビルの屋上。
潤と僕は座って下を眺めていた。
「かず。今日はどこに行く？」
フードに端正な顔を隠しつつ、潤が楽しそうに聞く。
僕は「んー」と悩むふりをしながら、今日の標的を定める。
「あこなんかどうよ？」
指差す先は、大きな宝石店。
「いいね。楽しそうじゃん」
潤がニヤリと笑う。
あの店は警備が厳重。だからこそ『盗みに入る』という行為が僕らにそれなりのスリルをもたらそうとしていた。
「っとに、潤くんはヒリヒリが好きですねぇ」
僕が皮肉の混じったような声で言うと、
潤はふふっといたずらっ子のように笑い、
つられて僕も笑ってしまう。
そう。
この空気は、小さい頃と何一つ変わっていない。
時は流れ、僕たちは17歳になっていた。
家を出てからは、『盗み』…まあ、『人から物を失敬して』生きてきた。
辛いときも、二人で生きてきた。
…ふたりっきりで。
時刻は午前零時。
「んじゃ、そろっと…」
「行きますか？」
立ち上がり、頷き合う。
「潤くん、よろしく」
声を受け、潤の瞳が紫色に変わり、チカラを働かせて、僕らそれぞれの周りに極々薄いバリアを張る。
これは僕たちの動きの邪魔になることは決してなく、証拠となる指紋や毛髪、足跡を一切残さずに行動できる。
そして、それ以前の対策として、
「「せーのッ！」」
息を合わせ、ビルから飛び降りる。
僕のチカラで空を飛び、目的地に向かう。
徒歩や公共の交通手段を一切使わないので、到達・逃走ルートを知られることはない。
時の流れは僕たちを成長させ、
そして。
俺たちのチカラも強くなっていた。
チカラが鍛えられるにつれ、『能力発動時に瞳の色が変わる』という変化が起こるようになった。
潤の瞳は闇夜に溶けるような紫色に。
そして僕はーーーー
「かず！なんか来る！！」
潤が落下しながら僕に叫ぶ。
目を凝らすと、夜にしては奇妙なほどの大量のカラスが、すぐ下で待ち受けていた。
「はぁ!? 」
思わず出る驚きの声。
でも、焦る必要もない。
こっちだって飛べるんだから。
イメージと共に、体を捉える浮遊感。
なんですか、あれ。
不思議に思いつつも飛び続け、宝石店の前に着地する。
フッと、宝石店のガラス張りの壁に映る自分を見れば、いつもと変わっている瞳の色。
そう、僕の瞳の色は、
闇夜に映えるような、黄色。
15.驚き [ Oside ]→←13.ビルの下にて [ Sside ]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 580人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カズ(プロフ) - 教えてください、ありがとうございます！早速続きを更新しようと思います。 (2014年12月17日 14時) (
レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» まずログインして続きを作りたい作品のページに行って、作品紹介の上辺りかページの最後辺りに「編集する」ってボタンがありませんか？そこをポチッっとすると続きを作れますよ。こ、これでいいでしょうか…?? (2014年12月14日 16時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 簡単に言うと一回更新をした後に、時間がたったときの二回目に更新をするときのやり方です。 (2014年12月14日 13時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 最初に更新をするじゃないですか。その後に一日二日たったときに更新をするのはどうすればいいですか？ (2014年12月14日 12時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» カズさん。いえいえ！お気になさらないでください(＊´∀`＊) …ごめんなさい。質問の意味がよく分からないのですが……(´・ω・`) あ、小説書き始められたのですね！楽しみにしています。 (2014年12月13日 17時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さなり | 作成日時：2014年7月19日 17時
