1.たぶんここがはじまり [ Nside ] ページ1
これはたぶん僕たちがまだまだ小さかったころ。
僕と潤だけの秘密基地でのこと。
「かず！あれ、またやってよ！！」
双子の弟の潤が楽しそうにねだる。
「いいよ。よぉし…」
チカラを使うのにちょうどいいものを探す。あの枝でいいや。
グッとその枝に神経を注ぐ。じんわりと浮かんでくる浮遊のイメージ。
そのイメージを現実とリンクさせる。
次の瞬間。
「すごい!! 枝が浮いてるよ!!」
僕らの少し先で踊るように浮遊する枝を見て、楽しそうに笑う潤。
「かず、あれも!!あれもやってよ!!」
潤がさらに期待を膨らませた顔で待っている。
「えー。これ結構疲れるんだよ？」なんて言いつつも、視線を枝から外し、潤に向ける。ついでに僕自身にも。
ふわっと僕と潤の体が宙へ浮く。
「あははっ!! すごいすごい!!」
潤が宙で泳ぐ真似をする。つられて僕も笑う。
潤と二人でいることだけが僕の幸せだった。
ここには、テレビを見てばっかりで家事もなんにもしない母はいない。
酒に溺れて、酔って、僕たちを殴る父はいない。
二人とも僕たちに興味なんてなかった。
でも潤とは、ただただ、楽しさに任せて好きなだけ遊んで、笑うだけ。
でも、いつまでもここにいれるわけじゃない。
夕暮れには、帰りたくなくても帰らなくちゃいけない。
同じ日に生まれた双子だと言ったって、それでも、僕は潤のお兄ちゃんだ。
あの家から、両親から、潤を守らなくっちゃいけないんだ。
手を繋いで歩く、帰り道でのこと。
「かず」
「なぁに？ じゅん」
「パパとママにはいつまでチカラを秘密にしておくの？」
「…」
「ぼく思うんだ。パパもママもきっと、かずのそのチカラのことを知ったら、きっと褒めてくれるよ！ 『かずはすごいね』って！」
純真無垢に、目を輝かせて言う潤。潤はまだ、両親がいい人だって信じている。
「…ぼくはそう思わないよ。」
つい、口が重くなる。
「なんで？」
小首をかしげる潤。
苦い表情で僕は言った。
「たぶんね。父さんも母さんも褒めたりなんかしない。きっとこう言うよ…――『怪物め』って」
それを聞いた潤はうつむいて悲しそうに言った。
「…かずは怪物なんかじゃないよ」
そして、顔を上げ、しっかりと僕を見つめて言った。
「ぼくは、かずのこと大好きだよ！！」
その言葉が僕をどれほど勇気づけたか。
「…うん。ありがとう。」
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カズ(プロフ) - 教えてください、ありがとうございます！早速続きを更新しようと思います。 (2014年12月17日 14時) (
レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» まずログインして続きを作りたい作品のページに行って、作品紹介の上辺りかページの最後辺りに「編集する」ってボタンがありませんか？そこをポチッっとすると続きを作れますよ。こ、これでいいでしょうか…?? (2014年12月14日 16時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 簡単に言うと一回更新をした後に、時間がたったときの二回目に更新をするときのやり方です。 (2014年12月14日 13時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
カズ(プロフ) - 最初に更新をするじゃないですか。その後に一日二日たったときに更新をするのはどうすればいいですか？ (2014年12月14日 12時) (レス) id: cff50c7d31 (このIDを非表示/違反報告)
さなり(プロフ) - カズさん» カズさん。いえいえ！お気になさらないでください(＊´∀`＊) …ごめんなさい。質問の意味がよく分からないのですが……(´・ω・`) あ、小説書き始められたのですね！楽しみにしています。 (2014年12月13日 17時) (レス) id: c9c95ba63f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さなり | 作成日時：2014年7月19日 17時
