任務 ページ36
「.......ここか」
徒歩一時間ほどで目的地に到着した。店屋が多く普段ははつらつとした雰囲気なのだろうが、現在はどことなくどんよりとしている。最底辺の気分で出向いた義勇からしたら若干の親近感さえ憶えた。
鬼の手がかりになるようなものは無いかと町中を徘徊していると、言い争う人々を見かけた。他人に話しかけるのが得意ではないが、仕事なのだから仕方ないだろう。
義勇は騒ぎの方へ足を向けた。
「だから!どうするんだって言ってんだよッ!!!」
「何だその口の利き方は?!」
「お前んとこの娘のせいで、俺のが今じゃ行方知らずだ!」
「.........あの!!」
義勇の声に数人の男が振り返る。どの男も上質の着物を身につけており高い身分だと窺える。だが、その分目が鋭く怖気付いてしまいそうだ。
「お話を聞かせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか」
声を振り絞って話す。言葉を受けた大人たちは全員怪訝な表情を見せた。そのうちの一人が驚きの声で叫ぶ。
「オイッ、コイツ刀持ってやがる!」
「な、じゃあコイツが犯人か?!」
「否、でもこんな子供が」
わーわーと義勇を無視して話し込む大人達。困った義勇は自己紹介というものを思い出す。そうだ、この人達にとって俺はただの余所者だ。挨拶から始めなくては。
「.......鬼殺隊、冨岡義勇です」
選別に受かっていない自分などが鬼殺隊と名乗っていいものかと疑問が残るものの、立場を示す肩書きにはこれしかないように感じる。
「鬼殺隊?」
「聞いたことねぇぞ」
「鬼を斬る組織です」
鬼って何だ、と顔をしかめる面々に義勇はさらに言葉を続ける。ここで追い返されては任務を遂行できないのだ。
「この町で困ったことは起こっておりませんか。例えば、人が居なくなるなど....」
パッと顔を見合わせる。その目には驚きの光がある。
「........実はな」
特に高価な服装をした中心の男性が重そうに口を開く。
「(ぎゆ、わたしも、がんば、るね!)」
一人場違いな気分のAであった。
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佳恋(プロフ) - 氷柱 氷龍さん» ございます!救済しましょうかねwこれからもご愛読よろしくお願いします!! (2020年8月4日 11時) (レス) id: 052cbbf88a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱 氷龍 - お願いしますカナエさんを出来れば死なせないでください!面白いです!w(゜o゜)w<WOW (2020年8月1日 17時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - dinner bornさん» あ!そうですごめんなさい!途中で設定変えたんです!直しときます!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
dinner born - 父親は他界済みとあるのに、ページ12には父親が1番に目を覚ましていました。 これは、作者のミスでしょうか.........? (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1da8ba8178 (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - 光華さん» ですよね!煉獄さんは神ですから死んで欲しくないですよね、、(切実)柱続行は無理でも、必ず死なせません!!笑コメントありがとうございます!励みになります!! (2020年5月13日 9時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佳恋 | 作成日時:2020年4月25日 13時