新たなる ページ34
選別で錆兎を亡くして亡霊のようになっていた俺がAには大変不安定なものに見えたらしい。
何とか支えてあげたいと思ったAは、一緒に行くことを思いつく。早速鱗滝さんに相談すると、義勇が了承したらな、という如何せん投げやりな言葉を返したそうな。
と、口では言っておきながら鱗滝さんも最近の俺には思うところがあったようで、行く前提で人を襲わないように竹の口枷を作ってくれた。あと昼間太陽を浴びないための木箱も。
俺に指令が入り出かけようとしたところで頼む、という作戦だったらしい。
義勇、と鱗滝が声を出す。
｢儂はお前が心配だ。ただ、無理強いはしたくない。これは本当だ。Aだって、お前の意志を尊重するだろう｣
｢........｣
｢........あのね、｣
いつの間にか口枷を解いたAが言う。爪先を伸ばし俺と目を合わせようと頑張っている。
｢おかあさんが、いったの。ともにいたいひとといて、まもりたいひとを、まもって、って。わたしが、いっしょにいたくて、まもりたい、で、うかんだのは｣
薄紅色の瞳が優しく弓形に細められる。
｢きみ、だから｣
｢........わかった。鱗滝さん、俺達は一緒に行きます｣
｢感謝する、義勇｣
｢よかったね！A｣
真菰が言うとAは大きく頷く。義勇の視線は木箱へと向かう。
｢どうやってこれに入るのですか？Aでは、入れない気が........｣
石のようにAの動きが止まった。考えていなかったらしい。おろおろと効果音がつきそうなほどの様子だったが、急に何かに閃いた表情を見せる。
す、とAが俺から距離をとる。得意気に口角を上げたかと思えば、Aの体がしゅるしゅると縮んでいった。
「A！？大丈夫か！？」
「だい、じょぶ！」
体型に合わない着物を引きずりながらAは笑っていた。五歳児ほどまで縮んでしまったことに義勇は驚く。見る限り体に不調は見られず痛みもない様子。
鬼になるとこういうこともできるのか、と考えているとAがいそいそと木箱に入る。
｢あ、あとね｣
真菰が部屋の奥へと走る。持ってきたのは羽織。
柄を見た瞬間、心臓の音が耳まで届いた。
それは、と言った声は音となっていただろうか。
｢錆兎と義勇の着物を縫い合わせたの。Aがやったんだ｣
｢ぎゆ｣
箱の中からAが声を出す。
｢いっしょに、すすもう｣
新たなる日々が始まる。
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佳恋(プロフ) - 氷柱 氷龍さん» ございます！救済しましょうかねwこれからもご愛読よろしくお願いします！！ (2020年8月4日 11時) (
レス) id: 052cbbf88a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱 氷龍 - お願いしますカナエさんを出来れば死なせないでください！面白いです！w(゜o゜)w<WOW (2020年8月1日 17時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - dinner bornさん» あ！そうですごめんなさい！途中で設定変えたんです！直しときます！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
dinner born - 父親は他界済みとあるのに、ページ12には父親が1番に目を覚ましていました。 これは、作者のミスでしょうか.........？ (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1da8ba8178 (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - 光華さん» ですよね！煉獄さんは神ですから死んで欲しくないですよね、、(切実)柱続行は無理でも、必ず死なせません！！笑コメントありがとうございます！励みになります！！ (2020年5月13日 9時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佳恋 | 作成日時：2020年4月25日 13時
