検索窓
今日:13 hit、昨日:12 hit、合計:119,532 hit

眠姫 ページ32

Aが長い眠りについてから半年ほど。

義勇、錆兎、真菰は鍛錬にあけくれる日々を送っていた。



Aが目覚めなくなってから、直ぐに鱗滝が町から医者を呼んだ。しかし、Aの体は健康体そのもので異常はなかった。ただ眠り続けるだけなのだ。





義勇はAへ日記を書き始めた。毎晩その日にあったことを記録し、最後にAへのメッセージを綴ったものだ。








そして、義勇と錆兎の最終選別のときが来た。鱗滝は無事帰ってくるよう願いを込め厄除の面を渡した。それを身につけ、二人は藤襲山向かっていく。

真菰は一足先に鬼殺隊へ進む彼らは羨ましく思った。
絶対に帰ってきてね、約束だよ。と言うと、もちろんと笑う。
次は隊服に身を包んだ姿を見せて欲しい。真菰は口元を緩ませた。






七日経ち、真菰はソワソワしていた。本来なら、もう帰ってくるはずなのだ。

日が沈み初め、不安を憶える。嘆く真菰に鱗滝は何も言わない。







そのとき、Aの指先がピクリと動いた。








______








長い長い夢を、見ていた気がする。




Aの意識はゆっくりと現実世界に浮上する。微睡みながら横へ顔を向けると、鱗滝の姿が薄紅色の瞳に映る。




「お、おはよう」


声を上げる鱗滝に笑いかける。鱗滝は面の上から目元を抑えたあとおはようと嗄れた声で返した。





扉の奥に辛い気配を感じる。暗く沈んだ深海のような冷たさ。






考える暇はなく布団から飛び出した。






木でできた扉を体当たりでこじ開ける。出た先には驚愕で顔を染める少年の姿。





走るAに呆然とする義勇。







いつかのようにAは義勇に抱きついた。苦しみも悲しみも全てを包むように優しく。何も発さずただ抱きしめる。



義勇も何も言わない。大切な人を亡くし、光が失われた双眸から涙が流れた。






義勇と錆兎の最終選別は幕を閉じた。





その年で死んだのは錆兎だけだった。

出発→←暗転



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
104人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

佳恋(プロフ) - 氷柱 氷龍さん» ございます!救済しましょうかねwこれからもご愛読よろしくお願いします!! (2020年8月4日 11時) (レス) id: 052cbbf88a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱 氷龍 - お願いしますカナエさんを出来れば死なせないでください!面白いです!w(゜o゜)w<WOW (2020年8月1日 17時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - dinner bornさん» あ!そうですごめんなさい!途中で設定変えたんです!直しときます!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
dinner born - 父親は他界済みとあるのに、ページ12には父親が1番に目を覚ましていました。 これは、作者のミスでしょうか.........? (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1da8ba8178 (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - 光華さん» ですよね!煉獄さんは神ですから死んで欲しくないですよね、、(切実)柱続行は無理でも、必ず死なせません!!笑コメントありがとうございます!励みになります!! (2020年5月13日 9時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:佳恋 | 作成日時:2020年4月25日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。