差し伸べられた手 ページ25
錆兎と仲良くなる大作戦！の具体的な案が浮かばず早三日。
錆兎が修行中に怪我をした。全集中の呼吸訓練中に足を痛めたそうだ。
これくらい大丈夫だ、と豪語する錆兎に鱗滝は大事にならないよう休んでおけと言ったらしい。
家に戻ってきた錆兎におかえりと言ったが返事は返ってこなかった。
不甲斐ない自分に腹を立てているようだ。険しい顔をする錆兎にAは泣きそうになる。
ああ、お願いだから。
自分をそんな風に思わないでほしい。
君は頑張っている、すごくよく頑張っているよ。
.........悲しい、哀しい。
布団から立ち上がり、ゆっくりと錆兎の傍に近づいていく。
音を立てず、日陰ができている縁側に膝をついた。
すっかり声をかけるタイミングを逃した錆兎は、相手の出方を窺っていた。
小さな手が錆兎の宍色の頭を撫でる。
優しく、優しく、手馴れた様子で撫でる。
「いいこ、いいこ」
ビクリと方を揺らす錆兎。頭を撫でられるなど久方振りだ。
反射で身構えてしまうが、Aからは敵意は無く、その優しい手つきに心が癒されていく。
｢えらい、えら、いよ。すごいこだ、ねぇ｣
ふわり、ふわりと言葉を繋ぐ。滑らかな右手が錆兎の頭に触れる度、どうしようもない安心感を憶える。
Aの発する温かい音は、どれも錆兎を賞賛するものだった。嬉しいような、照れくさいような、むず痒さが募る。
ああ、でもなんだか
｢(ものすごく、心地がいい)｣
｢きみは、とってもつよいこ」
「(そうだ、俺は強くあろうとしていた。男だから)」
口癖のように男なら、男に生まれたのならと強く心に抱いて来た。怪我などというハプニングに立ち止まっていてはいけない。進む以外の道はない。強い人間であるのなら尚更だ。
｢だいじょうぶ、ひと、りじゃ、ないよ｣
優しい手つきに無意識の内に涙が零れていた。
普段なら男のくせに、と思ってしまうが今日限りは許そう。今はただ、この甘く優しい時間に身を預けていたい。
陽だまりの中、錆兎はゆっくりと目を閉じた。
瞼の裏に太陽の光が残っている。
いつか日の下でAと歩きたい。
そう、思った。
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佳恋(プロフ) - 氷柱 氷龍さん» ございます！救済しましょうかねwこれからもご愛読よろしくお願いします！！ (2020年8月4日 11時) (
レス) id: 052cbbf88a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱 氷龍 - お願いしますカナエさんを出来れば死なせないでください！面白いです！w(゜o゜)w<WOW (2020年8月1日 17時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - dinner bornさん» あ！そうですごめんなさい！途中で設定変えたんです！直しときます！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
dinner born - 父親は他界済みとあるのに、ページ12には父親が1番に目を覚ましていました。 これは、作者のミスでしょうか.........？ (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1da8ba8178 (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - 光華さん» ですよね！煉獄さんは神ですから死んで欲しくないですよね、、(切実)柱続行は無理でも、必ず死なせません！！笑コメントありがとうございます！励みになります！！ (2020年5月13日 9時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佳恋 | 作成日時：2020年4月25日 13時
