水柱と鬼の奮闘記【冨岡義勇】

鬼の少女 ページ23

元水柱、鱗滝左近次は弟子である冨岡義勇を評価していた。

姉を殺されたといってもへこたれず自分の修行についてきた。同期である錆兎とも仲良くなっており、二人の様子は鱗滝から見ても微笑ましいものだった。


だから、彼が眠る鬼の少女を連れ帰って来たときも何が理由があるのだろうと思い真っ先に斬首することはなかった。

まず事情を聞いてみたが鬼の少女が義勇を庇ったらしい。




そんな鬼は鬼狩り時代でさえ見たことがなかった。






心底驚く事実はそれからだった。



布団から飛び出した少女は鬼の特徴をしっかりと持っていたが、人間への殺意の匂いは全くしなかった。

さらに義勇のことを家族にするように抱きしめ心配の声をかける。







この少女は何か違うのかもしれない。






本心からその言葉が出た。






その後安堵から義勇が眠ってしまい、鱗滝と錆兎は少女に自己紹介をした。




辿々しい喋りで自分の名前を紡いだ少女は神楽Aと名乗った。




錆兎はAのことを嫌ってはいないようだが、歓迎もしていないように思えた。
当然だろう、錆兎の父親も彼女の同族に殺られたのだから。




いつか二人が心から和解すればいい、鱗滝はそう思った。









この日から三人の暮らしが四人へと変わっていった。

錆兎→←覚悟

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す