鬼 ページ19
「動かなくていい!!立たなくていい!!!俺が医者まで運ぶので!!!」
俯く少女に必死に声をかける。少女は聞こえていないのかじっとしたままだ。
ふと、義勇は少女の異変に気づく。
気配が先程と違う。
人間ではなく、今義勇に跨っている鬼と同じものだ。
ということは、
「あぁ?なんだ、あの女.......鬼じゃねえかァ。俺の獲物を奪うつもりなら鬼同士でも容赦しねェよォ」
鬼の言葉に少女は何も言わない。聞こえているのかも分からない。
鬼の言葉を聞いて義勇は確信を持つ。あの少女は鬼だと。
きっと、たった今鬼となったんだ。
となれば、本当にまずい状況だ。
飢餓状態の鬼はなんだって襲う。特に鬼化した直後は鬼と化すのに体力を使うから更に見境がないと鱗滝から聞いていた。
鬼殺隊士志望の一般人と二体の鬼が戦う。
勝敗は火を見るより明らかだ。
どうする、どうする。
焦りから手汗が滲み、小刀を握る力が弱まってしまう。
力の弱まりを見た鬼は、刺されていた小刀を噛み砕いた。
小刀の破片が義勇の頬を切りかすり傷を作る。
続けて首に鬼の手がかかる。異様に尖った爪がくい込みじわじわと血が滲む。
退けようと試みるが強靭な力でビクともしない。
「首を折ってやる。食事はそれからだァァァ!!」
「ぅ、カハッ.......ぐ、」
痛みと喉の苦しさに声を漏らす。
義勇の声を聞いた瞬間、立ち竦んできた少女が動き出した。
息を呑んで少女の動向に目を凝らす。
真っ直ぐにこちらへ向かってきた少女はあろうことか跨る鬼の頸を蹴りあげた。
「え、うわぁぁぁッ!!!」
「ゲゥっ........!!」
頸なし鬼に怯えた義勇の悲鳴と少女の蹴りによって飛ばされた鬼の叫びが交差する。
残された体はだらりと力が抜け横たわる。倒れてくる鬼の体を義勇は力一杯突き飛ばした。
血の吹き出す頸のない姿は、少し否かなりの気持ち悪さを誇っていた。
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佳恋(プロフ) - 氷柱 氷龍さん» ございます!救済しましょうかねwこれからもご愛読よろしくお願いします!! (2020年8月4日 11時) (レス) id: 052cbbf88a (このIDを非表示/違反報告)
氷柱 氷龍 - お願いしますカナエさんを出来れば死なせないでください!面白いです!w(゜o゜)w<WOW (2020年8月1日 17時) (レス) id: bd22a3d64d (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - dinner bornさん» あ!そうですごめんなさい!途中で設定変えたんです!直しときます!! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
dinner born - 父親は他界済みとあるのに、ページ12には父親が1番に目を覚ましていました。 これは、作者のミスでしょうか.........? (2020年5月23日 15時) (レス) id: 1da8ba8178 (このIDを非表示/違反報告)
佳恋(プロフ) - 光華さん» ですよね!煉獄さんは神ですから死んで欲しくないですよね、、(切実)柱続行は無理でも、必ず死なせません!!笑コメントありがとうございます!励みになります!! (2020年5月13日 9時) (レス) id: 49831120ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佳恋 | 作成日時:2020年4月25日 13時