水柱と鬼の奮闘記【冨岡義勇】

予感 ページ14

嫌な予感というのは良い予感よりも当たりやすい。


これは誰から聞いた言葉だっだろうか。








しんしんと降り続ける雪の冷たさに身震いをしながら少年、冨岡義勇は足を早めた。

恩師である鱗滝左近次の遣いを頼まれたのはいいが、如何せん足場が悪すぎる。


日々修行をしているといっても、深く積もった雪の上を歩くのはとても大変。現に義勇の息は荒く、凍える空気の中、汗をかいている。



だが、何だか止まってはいけない気がするのだ。




何者かに背中を押されている気がする。


狭霧山を下りる際も奇妙な胸騒ぎを感じ、いつもより速い足取りで進んだ。

だが、不安が少しも薄まらない。寧ろ目的地である狭霧山の近辺に位置する山へと踏み入ってからより強くなった。




この山で一体何があったというのか。

自分は何に怯えているのか。

訳も分からないこの胸騒ぎに恐怖を感じていた。




山の頂きの近くまで来た。
やけに静かだ。


禍々しい血の匂いが、する。




そう気づいた瞬間、冷や汗が吹き出す。





鱗滝のように鼻は利かないが必死になって匂いを辿る。
幸いか不幸か、血の匂いは強く義勇でも難なく辿ることが出来た。





その先には一軒の民家が佇んでいた。




少しでも一秒でも早く確認しろ。


雪を踏み締めて走り、民家へと急いだ。

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