兄の先輩２ (水溜りボンド・トミー)

56.髪飾り ページ6

2人で公園を出て、家に帰る。


トミーさんは私の歩幅に合わせてくれた。


「あ、そうだ。カンタやPさんやキイチやまんずも必死に、Aちゃんのこと探してるから、連絡しとかないと。」


そう言い、スマホを取り出し電話する。





皆で、探してくれてたんだ...。


私、散々迷惑かけて、


最低だな...。






そして、家に着くと、


とっくに0時を過ぎていた。





とりあえず皆さんに、


迷惑かけたことを謝罪した。


私の前では、トミーさんは、


皆に、公園で何があったのかを


言わずにいてくれた。


皆に謝罪し、私はすぐにお部屋に戻った。





結莉が綺麗に着付けしてくれた浴衣も、


凄く乱れていて、


結莉が可愛くしてくれた髪型も、


グチャグチャになってしまって、


結莉が貸してくれた髪飾り...


...！！


...髪飾りがない...！！


結莉のお気に入りの髪飾り...


どうしよう...公園で落としたかな...


私は慌ててお部屋から飛び出し、


家を出て探しに行こうとした。





「A？」


「どうしたの？」


そんな私を見てお兄ちゃんとトミーさんが駆け寄る。


『結莉に貸してもらった髪飾り落としちゃったみたいだから探してくる。』


一息でそう言うと、私は玄関を開けようとした。


開けようとしたんだけど、


玄関の扉のドアを握ろうとする手が直前で動かなくて、


涙が零れてきた...。


気づけば足もガクガクしていて、


私は外に出るのが怖かった。


またあんな目に合うんじゃないかって、、、




「A。」


優しい声でお兄ちゃんに呼ばれた。


私がさっきお部屋に戻った時に、


たぶんトミーさんが公園であったこと


話してくれてて、


「無理しなくていいよ。」


お兄ちゃんは言った。





お兄ちゃんに優しく諭され、


お兄ちゃんに連れられてお部屋に戻った。


『...でも、結莉から...借りた、大切な髪飾り...探さないと...』


泣きながら言う私。


「お兄ちゃんが探してくるから、Aは家にいて。Aにこれ以上傷ついてほしくない。」


そう言いお兄ちゃんは、


私のお部屋を出ようと、


お部屋の扉を開けた。


扉を開けた先にはカンタさんがいて、


「もう、トミーが探しに行ったから、大丈夫だよ。」


と言った。

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