兄の先輩２ (水溜りボンド・トミー)

65.裏切り ページ15

「友達を利用したんだ。」


結莉は、口調は落ち着いているけど、


表情はすごく怒っていた。


結莉がそう言うと、


「ふっ。はぁ？何言ってんの？」


また鼻で笑った奈菜美ちゃん。


「私、こいつのこと、友達だと思ったことないから。」


そして続けてこう言われた。





...友達だとすら思われてなかった...。


じゃあ、私はなんなの...。


水溜りボンドさんに近づくための、


道具...？





“友達だと思ったことないから”





そう言われて私は、


涙が止まらなくなっていた。





一瞬だけ静かになったお部屋に


パチンっと少し大きな音が響いた。




見上げると、


結莉が、奈菜美ちゃんの頬を


ビンタしていた。





「最っ低！！」


結莉は、涙目でそう言った。





ビンタされた奈菜美ちゃんは、


叩かれた頬を擦りながら、


「痛っ、チッ、てめぇーなにすんだよ！！」


と、もう片方の手で、


机の上にあった私の腕時計を


結莉へと投げつけた。





乱暴に投げつけたからか、


結莉には当たらず、


そのまま壁にドンっとぶつかった腕時計。





結莉に当たらなかったことで、


更にイライラが増した、奈菜美ちゃん。





「あーもーなんなの！！騙される方が悪いんだよ！！」


投げつけられた腕時計を拾い、


「ねぇ、腕時計壊れたんだけど？」


キッと睨みつけて言う結莉。


「知らねぇーよ。とりあえず、私がトミーさんと付き合ってんのは事実なんだから、もう私たちに関わんないで！！」


そう吐き捨てるように言い切った


奈菜美ちゃんは、お部屋を出ようとし、


扉を開けた。





扉を開けた瞬間に固まる奈菜美ちゃん。


「...ど、どうして...」

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