笑顔 ページ4
「大崎ちゃん、どうかした?」
後ろで確認してくれていた
秋吉先輩が、心配そうに言った。
『あ、いえ...。』
私が答えを濁したのを見て、
「急にしどろもどろで接客してたから、ビックリしたよ。」
秋吉先輩は優しいな。
...秋吉先輩には伝えておこうかな。
『さっきの2人組の男性のお客様って、良くこのお店に来られるんですか?』
とりあえず私は、
お2人がここに良く来るのか尋ねてみた。
「うーん。いや、私は初めてみたかな。」
秋吉先輩は、少し考えたあとで
そう答えた。
「どうしたの?大崎ちゃんの知り合いとか?」
私がそうなんですね。と返すと、
逆に秋吉先輩から質問された。
『あ、いえ、知り合いとかではないです。』
私は、そう答えた。
そう、知り合いではない。
一方的に私が知っているだけ...。
「それじゃあ、もしかして、あの2人組のどっちかに一目惚れでもした?」
秋吉先輩は、
少しニヤッと笑いながら、言った。
『ち、違いますよ。』
私は慌てて否定して、続けた。
『秋吉先輩は、YouTubeって見ますか?』
私が突拍子もない質問をしたせいか、
秋吉先輩は素っ頓狂な声で、
「いや、見ないかな。」
と、答えた。
『私の間違えじゃなければ、あの二人組の大柄な男性が、YouTuberなんですよ。』
YouTubeを見ない秋吉先輩に、
YouTuberとは何か から、
私がYouTuberの水溜りボンドさんが
大好きでって言う話をした。
「えっ!バイト先で会えるなんて凄いじゃん!声掛けないの?」
全ての説明を終えると、
秋吉先輩は、少し興奮気味に
私に言ってくれた。
『いや、でもプライベートですし、迷惑ですよ...。』
秋吉先輩は、
少し勿体ないという表情を浮かべた。
...常連さんとかだったら、
また会えたりするのになぁ。
でも、秋吉先輩が見たことないって
言ってたから、
滅多に来ることはないのかな...。
暫くして、
2人組のお客様は、
席を立ち、トレイを下げて、
お店を出られた。
トレイを下げに来た時、
大柄な男性が、
「ごちそうさまです。」
と言った。
一瞬目が合った気がした。
...精一杯笑顔作ったつもりだけど、
表情硬かっただろうな...。
72人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:渚 | 作成日時:2018年12月18日 0時