兄の先輩 (水溜りボンド・トミー)

36.ライバル ページ36

それからちょくちょく、家に来るようになった奈菜美ちゃん。


家の鍵を作った後も、


何かしらの理由を付けて、家に来た。


私がバイトで家にいない日も、


また私に伝えてたけど、私が連絡しなかったとか、


その度に、お兄ちゃんに、


「ちゃんと連絡して」


と言われた。


家に来るなんて私は何も聞いていないのに。


私がそれを言おうとすると、


奈菜美ちゃんに遮られる...。





そんなある日、


今日も奈菜美ちゃんは私のバイトの間に家に来ていて、


私が帰ってくるまで、リビングで、


お兄ちゃんとトミーさんとキイチさんとまんずさんとお話していた。


私が帰ってきて、奈菜美ちゃんを連れて自分のお部屋に行く。


私のお部屋について、奈菜美ちゃんが、


「ねぇ、トミーさんって素敵な人だね。」


と言った。


...えっ？


「いや、皆さん素敵なんだけど、んー...なんかトミーさんのこと...私、好きになっちゃった。」


チクッ


奈菜美ちゃんの言葉に、胸がチクッとなった。


「えへへ。なんか恥ずかしいな。好きって口にするのって照れちゃうね。」


と、私の気持ちを知らない奈菜美ちゃんは恋する乙女で、


いつもより綺麗に見えた。





...私なんか、、、


勝てっこない...。

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