うちの暴君は『嫉妬深い』だけ【石田三成】

黙ってたら可愛い ページ5

幸い遅刻は免れ、Aは登校して早々に机の上で突っ伏していた。


「どうした？」


前席の左近は椅子を傾けて、Aの頭をつついた。


「昨日夜更かしするんじゃなかった。そしたら写真なんて撮られなかった、はず」

「はい？」

「左近！気安く私のAに触るな！」


通路を挟んで左近の横列に三成の席がある。
そこから三成が声を上げるが、廊下から生徒会副会長である竹中半兵衛に呼ばれ、教室を出て行った。


「相変わらず独占欲強いなー三成様」

「あの暴君曰く、他の男子生徒と私がすれ違っただけでも大罪らしいよ」


思わず苦笑いした左近はふと疑問に思う。


「向こうがあんな独占欲強いと疲れたりしねーの？」

「んー……まあ、大量のメッセージとか電話は慣れたとして、不法侵入は勘弁して欲しいよね。寝起き撮られるから」


Aの基準が狂っているのか。
それとも左近の基準が狂っているのか。


「長い付き合いだとこうもなるのか」

「実際付き合って一年も経ってないけど」

「そーじゃなくて、中学の時から仲良かったじゃん？」

「まぁーねぇー」


Aからはやる気がまるで感じられない。
元々マイペースな性格なので、あれほどの束縛は辛いはずなのによくもまあ喧嘩にならないなと左近は常々思っていた。


「ちなみにAは三成様のどこがいいんだ？」

「これとか」


ポケットから取り出したスマホに指を滑らせ、Aは画像フォルダを開いた。


そこには珍しく転寝をしている三成の写真が。


「ん？なにこれ？どういう状況？」

「生徒会に入った当初張り切りすぎて電池が切れた三成」

「そんなことあったっけ？」

「撮ったらシャッター音で起こしちゃった」

「……よく三成様から消せって言われなかったな」

「死ぬほど言われたよ。でもなんかもったいないじゃん！こんな可愛い三成見たことないし、何かの弱みになるかもしれない！」

「後半本音出てるぜ」

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