潔癖性★ ページ18
常日頃から、Aに対する感情が湧き水のように溢れ出ている。
優しい香りが鼻をつくたび、この
私を癒す言葉すら呑み飲んで、蕩けてしまいたくなる。
何色にも染まっていないその身を、私の色に染めてしまいたい。
他の男に染められる前に、深い色で塗り潰してしまいたい。
「Aちゃん、ちょっといいかね?」
「はい、何でしょう?」
男に話しかけられ、Aは何の警戒心もなく返事をする。
「棚の上の物を取りたいんだが、それがしは今腰を痛めておってなぁ……。もしよかったら代わりに取ってくれないかね?」
「ええ、いいですよ」
「いやー、流石Aちゃん。助かるよ」
男は馴れ馴れしく、Aの肩に手を置く。
私が軽率にしてはならないことを、あんなにも簡単に。何の躊躇いもなく。
私がどんな思いでAに触れているのかも知らないで。
どれだけ常に耐えているのかも知らないで。
男の視線が、Aの胸部を向いているのが分かった。
芽生える殺意。
内側で沸騰する血潮。
ああ、止めろ。
Aを、貴様の汚らわしい欲望のはけ口にするなッ……!
「っ!?」
肉が衝撃を受けた音。
拳に感じた鈍痛。
後方へ吹き飛んだ男。
驚いた様子で私を見上げるA。
たった一瞬で、多くの情報を五感が感じ取った。
「い、石田様、一体何を……」
理解を求めるAの声が聞こえていなかったわけでは無い。
ただ、今の私には答えられるほどの余裕は持ち合わせていなかった。
「私は今、機嫌が悪い。刹那に去ね。さもなくば斬殺する」
片方の頬を赤く腫らした男は、蛇のように床を這ってその場を立ち去った。
ひとまずほっとしていると、すぐ近くにいたはずのAと距離が出来ていることに気がついた。
「……A?」
「わ、私、用事を思い出したのでこれで失礼します」
「何を言っている?貴様はさっき仕事を終えたばかりで__」
Aを追った指先は空を掴んだ。
何故だ?
何故Aは…………私に向かってあんなに怯えた目をしていたんだ?
33人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時