満たされない心 ページ39
苛立ちが、憎悪が消えて心に安寧が訪れるあの瞬間が心地いい。
口付けを終えた後の慈愛的な瞳も、まだ足りないとせがむと困った顔をするところも、気がつけば全てが愛おしくなっていた。
私のものにしたい。
誰にも渡したくない。
「全て
Aは丁度魚屋の店主に紙を渡していた。
「あいよ。なんなら自分で選んでみるかい？」
店番の男はAを店の中へと連れて行った。
その際、肩に腕を組んで。
汚らわしい。
その手でAをどこかへ攫おうとしている。
行かせるものか。生かせるものか。
背後が手薄になった男の肩に刃を突き立てる。
男が呻き声を上げた瞬間、周囲の目がこちらを向いた。
喚くな。騒ぐな。
その声が耳障りだ。
だらりと片腕をなくした男は、隠し持っていた短刀を三成へ向けた。
三成は迷いなく、民衆の目の前でその男を斬った。
「三成様、どうして」
相変わらずAは目の前で人が殺されても冷静な方だった。
だがそれはただこの状況を理解出来ていないだけ。
「どうしてだと？こいつは貴様を攫おうとしていたんだ」
「何を言っているんですか。この人はただの店番の人で」
「買い出しの品に違和感を覚えなかったのか。とことんお人好しだな。だが気に病むことは無い」
刃先に付着した血を払い、刃を鞘に収める。
故人の傍に歩み寄ったAの腕を引き、無理やり店から連れ出した。
「また墓を作りたいなどとほざくなよ。来い、まだ私との話が終わっていない」
「……納得できません。あの人が何をしたって言うんですか」
三成の手を振り払ったAが珍しく怒りを露わにする。
振り払われた手を握りしめ、攫われそうになったところを助けてやったのに礼も言えないのかと三成はむしゃくしゃした。
『もう解放してやれ』
刑部の言葉を思い出して、ぱきっと心にヒビが入る。
こんなにも慕っているのに。
好きになってくれるのなら何でもしてやれるのに。
向けられるのは薄情と決別。
誰にも理解してもらえないもどかしさに苦しんでいると、怒りの目を向けていたAの表情が痛々しいものを見る目に変わった。
「A」
醜い感情に汚染されていく。
どうか、こんな自分でも受け入れて欲しい。
「私のような男は、嫌いか？」
三成は拒絶されたくない一心で
自分の心を傷つけながら
Aの博愛を利用した。
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三楓(プロフ) - こゆきさん» コメありがとうございます！三成様は主人公が悲しいから泣いていると思って、それを取り除いてあげようとしたようですね...（笑）楽しんで頂けて嬉しいです！これからの展開も楽しんでもらえるよう更新頑張ります(*´∀｀*) (2018年10月18日 1時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
こゆき - 三成から口付けをしたんですか！？意外と三成って積極的ですよね笑 でもなんだか病みそうな気配が……。ものすごく楽しいです！！(>ω<*) (2018年10月17日 23時) (レス) id: f544f7d6d0 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - こゆきさん» いえいえ、こちらこそ貴重なご意見ありがとうございました！アニキのシーンは一旦終わってしまいますが、再び登場しますので気長に待って頂けると嬉しいです(*´∀｀*) (2018年10月8日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
こゆき - いつも更新お疲れ様です！きゃあきゃあしながらいつも見てます笑笑 アニキ登場！！！！！私の希望に答えていただき、本当にありがとうございます(´ω`*)とても嬉しいです！ (2018年10月7日 21時) (レス) id: f544f7d6d0 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - こゆきさん» コメありがとうございます！さぁ...いつ病むのでしょうかね...？（笑）アニキも登場しますので今後の展開をどうぞお楽しみください(*´∀｀*)更新の方も頑張ります！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年10月5日 23時
