甘味処 ページ11
それだけは困りますと言わんばかりに動揺するA。
そんな二人を見て、酒屋の店主がおずおずと話に割り込んだ。
「あのー、誰をお探しでしょうか？」
「私に読み書きを教えてくださった白銀の髪を持つ雪の精を探しているんです。心当たりはありませんか？」
店主は「雪の精？」と首を傾げた。
やはりその表現が恩人を探す妨げとなっているのだろう。だが残念なことにAがそれに気がついている様子はない。
「こいつの言うことは間に受けなくていい。とにかく白銀の髪を持つ者で、口を覆い隠して考える癖のある奴を知らんか」
「はぁ、口を覆い隠して考える癖を持っているかどうかは定かではございませぬが、白銀の髪の男なら先程店に……」
「その人は今どこに！？」
ようやくそれらしい情報が入ったことにAの胸の内から喜びが湧く。
酒屋の店主から教えて貰った場所へ向かうと、そこには人の行列がずらりと出来ていた。
皆、わくわくした様子で列に並んでいる。
「……ここは」
「あ、ここです。兵隊さんが教えてくださった【甘味処・花鳥風月】。数量限定で南蛮のかすていらという砂糖菓子が販売されていて」
「……貴様、ここに来たいがために私を陥れたわけではあるまいな？」
「何故そんな考えに至るんですか！？偶然ですよ偶然！」
店の前で痴話喧嘩をする二人を、行列に並んでいた人々は不思議そうに眺めていた。
数量限定のかすていらを購入し、店の中から出てきた男もその喧嘩を見て、根っからの世話焼き気質に火がついた。
「おいおい、こんな所で喧嘩なんて野暮な真似するんじゃ……って石田じゃねぇか！アンタこんなところで何やってんだよ」
かすていらの袋を片手に持った男は、どうにも甘味処が似合いそうもない大きな体格で、左目を眼帯で隠した白銀の髪の男だった。
彼は四国の長、長曾我部元親。
三成とは同盟相手の武将である。
「まさか店主の言っていた男が長曾我部だったとは。よかったな、これで探し人が見つかった。恩人共々大阪から去ね」
「確かに白銀の髪ではありますが違うような。もっとこう、すらっとした感じの」
「貴様は馬鹿か？この世に生を受けた時からこんな図体なわけが無いだろう。貴様と出会った頃と今では月日が経っている。例え変わり果てても何の不思議もあるまい」
「……あ？なんで俺いま貶されてんだ？」
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三楓(プロフ) - こゆきさん» コメありがとうございます！三成様は主人公が悲しいから泣いていると思って、それを取り除いてあげようとしたようですね...（笑）楽しんで頂けて嬉しいです！これからの展開も楽しんでもらえるよう更新頑張ります(*´∀｀*) (2018年10月18日 1時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
こゆき - 三成から口付けをしたんですか！？意外と三成って積極的ですよね笑 でもなんだか病みそうな気配が……。ものすごく楽しいです！！(>ω<*) (2018年10月17日 23時) (レス) id: f544f7d6d0 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - こゆきさん» いえいえ、こちらこそ貴重なご意見ありがとうございました！アニキのシーンは一旦終わってしまいますが、再び登場しますので気長に待って頂けると嬉しいです(*´∀｀*) (2018年10月8日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
こゆき - いつも更新お疲れ様です！きゃあきゃあしながらいつも見てます笑笑 アニキ登場！！！！！私の希望に答えていただき、本当にありがとうございます(´ω`*)とても嬉しいです！ (2018年10月7日 21時) (レス) id: f544f7d6d0 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - こゆきさん» コメありがとうございます！さぁ...いつ病むのでしょうかね...？（笑）アニキも登場しますので今後の展開をどうぞお楽しみください(*´∀｀*)更新の方も頑張ります！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2018年10月5日 23時
