駒として 2 ページ24
秀吉「使い捨て、か」
半兵衛「三成君が言うのなら間違いないと思うよ。どうやら早めに別の手を打っておいた方がいいかもしれない。彼らの家臣団の結束力は伊達じゃないことは君も承知だろう。もし離反するならば、兵力を丸ごと失うことになる」
秀吉「しかし半兵衛、奴には他に娘がいただろう?その者を差し出せと命じればそうするのではないか?」
半兵衛「それも一応考えて調べたんだけど…」
半兵衛は調べ上げた資料を秀吉の目の前に差し出した。
家系図に刻まれる子の名前はずらりと並べられているが、その多くは黒墨で×と書かれている。
半兵衛「僕も最初に見たときは驚いたよ。まさか団結力どころか裏では跡目争いが行われていたなんて」
秀吉「どういうことだ?」
半兵衛「この印は跡目争いで死んだ者達だ。最初は正室と側室の争い、そこから異母兄弟同士で跡継ぎ争い。しかも正室側は完全に寝返った義理の兄と通じている。もう既に正室側は義理の兄に身を寄せているらしい。つまり、側室の子であるAちゃんが三成君と契りを交わしたところで、僕らは全く関係のない争いに巻き込まれる可能性が高い」
秀吉「使い捨てとはそういう意味か」
半兵衛「恐らく父親本人はまだ決断が出来ていないんだろう。Aがちゃんを嫁がせようとしているのは万が一豊臣に残った場合、一族の争いに僕たちを無理やり加担させるつもりだと推測するね。余計なことを考えたものだ」
秀吉「ではそうする?破棄するか?」
半兵衛「いや?全部三成君に任せることにしたよ。と言っても、破棄は確定だろうけど。面倒事に首を突っ込むほど、三成君はお人よしじゃないと思うし」
半兵衛から渡されたAの一族の家系図を、秀吉は「そうか」と言って机の上へ投げ捨てるように置いた。
*******
翌日、秀吉の前で頭を下げる女は「表を上げよ」の言葉の後にゆっくりと顔を上げた。
A「Aと申します」
秀吉「遠いところからご苦労であったな」
A「いえ、私はただ籠に揺られていただけでございます。迎えに来てくださった方々にどうぞそのお言葉を」
秀吉「うむ。後のことは三成に聞くがよい」
A「はっ」
Aは再び頭を下げ、付き人と共に広間を立ち去った。
半兵衛「秀吉、ちょっといいかい?」
秀吉「どうした半兵衛」
半兵衛「この婚約、もしかしたら破棄せずとも自然消滅するかもしれない」
Aの傍にいた付き人を見ながら、半兵衛はぼそりと呟いた。
72人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - みつさん» コメありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2017年8月15日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
みつ - 面白いです。これからも更新頑張ってください。楽しみに待ってます! (2017年8月15日 17時) (レス) id: c881b9ad42 (このIDを非表示/違反報告)
彩月いろは(プロフ) - 三楓さん» ありがとうございます! (2017年8月8日 20時) (レス) id: 676cb16bcb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩月いろはさん» コメありがとうございます(*´∀`*)猿飛佐助オチですね!内容作成にしばらく時間がかかると思いますが、前向きに検討させて頂きます。 (2017年8月8日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
彩月いろは(プロフ) - 三楓さん、お気に入り作者100人、おめでとうございます!そこで小説のリクエストなのですが、猿飛佐助オチを書いてほしいな・・・と思いますが出来ますでしょうか? (2017年8月8日 20時) (レス) id: 676cb16bcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年7月15日 11時