忍と領主様（幼）弍 ページ11
さすがに忍装束で城下町を彷徨くわけにはいかない。質素な着物に着替えて、小太郎ははしゃぐAを見ていた。
A「こたろー、選んで選んで！」
小太郎の着物の裾をぐいぐいと引っ張るAが指さした店は、筆屋だった。
A「私がこたろーにかってあげる！」
首から下げていた巾着袋の中を小太郎に見せるAの表情はドヤ顔。
しかし中には通貨ではなく、おはじきが入っていた。
これで買えるわけがない。
結局筆代は小太郎が取り持つこととなった。
A「...これはちがうの？」
寂しそうに見つめられたおはじきは、巾着袋の中でじゃらじゃらと音を立てる。
小太郎は慰めるように買ったばかりの筆をAに渡すが、Aは首を横に振った。
A「それはこたろーの。紙でならお話出来るでしょ？」
小太郎「...」
A「私、こたろーとお話したい」
どうしてこうも懐かれるのか、小太郎は不思議でたまらなかった。
餌付けはおろか、物でつったこともましてや何かの拍子に助けたこともない。
初めて会った時からすぐに懐かれた。
それが任務の邪魔だと思ったことも、少なからずある。
子どものやることだからと今まで目を瞑ってきたが、流石に彼も煩わしかったのだろう。
Aが他の売店に目を奪われている隙を見て、彼は任務へ戻った。
北条家支配下の城下町だ。監視の目もあるゆえ、多少迷子になろうとも所々にいる見張り番の元へ行けば城に戻れる。
放っておいても大丈夫だろう。
その時の小太郎は、そう軽く思っていた。
*******
夕焼け空に烏の群れが飛び交う時刻。
氏政「おぉ風魔、帰ったか」
敵の偵察を終え帰って来た小太郎の周囲を氏政はきょろきょろと見渡した。
氏政「Aはどうしたんじゃ？」
まだあの子は城下町にいるのか、と小太郎は溜息をつく。
小太郎「【おそらくまだ城下でしょう。探してきます】」
買ったばかりの筆を持ち、側にあった紙で小太郎はそう書いた。
氏政「もしや、Aを置いて任務に？」
小太郎「【敵の動きを探るというのが本来の役目です。失礼ながら、A様の子守りは任務ではありません】」
氏政「それはそうじゃが...」
氏政は言葉が詰まる。
優しさ、いわゆる余計な感情がないから風魔は任務や暗殺をこなせる。
それにAは次期当主と持て囃されているが、実際に北条家を継げる訳では無い。
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天里三笠(プロフ) - どういたしまして (2018年1月10日 16時) (
レス) id: b5fd42ea38 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天里三笠さん» 誤字の指摘ありがとうございますm(_ _)m訂正しました。 (2018年1月10日 16時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天里三笠(プロフ) - こんにちは。漢字のミスです。幼少期のストーリーで、何かの表紙に助けたわけでもない、のひょうしは拍子、です。 (2018年1月10日 13時) (レス) id: b5fd42ea38 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 佐助君のノリ&ツッコミ、面白かったです^_^最後、佐助君が可愛そうな気が・・・・・。楽しくて、サクサク読めました^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 955180b2fd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - まゆさん» コメありがとうございます(*´∀｀*)更新頑張ります！ (2017年10月18日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2017年7月8日 23時
