まずい ページ21
.
それから何度かホークスと晩ご飯を一緒に作り過ごした頃だった。
事件が起きたのだ。
「Aちゃんバイバイ〜」
「ばいばーい」
カバンを持って教室を出て行く友達たちに手を振り、自分もよいしょとリュックを背負い帰る準備をする。
後ろではホークスが今日も今日とて一緒に帰ろうと女子たちに囲まれている。この光景にももう慣れた。
他のクラスの女子まで会いにくるなんて、相当みんなホークスのことが好きなんだろう。
そして一体このうちの何人がホークスと関係を持っているのだろうか、なんてチラ見してから群がる女子たちの横を通り過ぎる。
すると突然パシッと右手を掴まれた。なんだと掴んでいる手の先を視線で辿ると、まさかのホークスでなに？と聞く。
「ね、今日夜俺時間合いそうだけど──」
あ
やめろ、その先を言うな
そう目配せしたにも関わらず、ホークスはそのまま口を開いてしまった。
「晩ご飯、何作る？」
最悪だ
騒いでいた女子たちがその瞬間無音になり、全員口をぽかんと開けた。
次第にこちらに目を向けられる。
「……なんの、話」
お願い、どうにか誤魔化せ
何言ってんだ俺って言ってくれ
本当に、女子たちの視線が
「昨日大根とか貰ったからさ、今日はそれ使って何か一緒に作ろうよ」
あぁ何こいつ
一緒に晩ご飯食べてるとか隠していたわけじゃないけど、こんな状況で絶対に暴露しちゃマズい話を
どうして言うかなぁ
「…帰るから、じゃ」
これ以上この空間にいてられなくて、手を振り解き教室のドアに振り返った瞬間だ
「なに？その話」
「…………透くん」
迎えにきてくれたのだろう、透くんが立っていた。
あぁ、こっちもこっちですごい顔してる
いつから聞いていたのか
面倒くさい状況だ、とりあえず早く出よう
そして強引に透くんの手を取り教室の外へ連れ出した。
遠くなって行く教室からは「ホークス？！どういうこと？！」と女子たちの悲鳴が聞こえる。
頼むから変な言い方すんなよ
なんて期待するだけ無駄であろうそんなことを願いながら階段を駆け降りた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 491人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (12月24日 1時) (
レス) @page38 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - めちゃめちゃ好きな作品なので続きが見たいです（ ; ; ） (2023年3月1日 8時) (レス) @page32 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた - えっえっお願いしますみたいです大好きです (2023年2月13日 0時) (レス) @page38 id: 1bebe7d5ab (このIDを非表示/違反報告)
sana＊(プロフ) - もっちさん» わぁあありがとうございます😭もう作品が逸れ過ぎて収拾つかなくなってますよね😢笑 しかも最近また新しい幼馴染同級生ネタも浮かんできてて😂しばらく更新出来ておらずすみません！そろそろ気合い入れて進めます！💪 (2022年9月9日 19時) (レス) id: 35c21c90ed (このIDを非表示/違反報告)
もっち - 同級生設定のホークス嬉しすぎていつも楽しく読ませて頂いております！続きがとってもとっても気になるので少しずつでも書いていただけたらなぁと思います…。物語って考えるのも難しいし時間もかかるでしょうし大変だと思いますが、応援しています！頑張ってください！ (2022年9月2日 4時) (レス) @page38 id: 77bce02d1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sana＊
| 作成日時：2021年10月12日 11時
