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過去の花 火 ページ34

えっ、と思わず声がもれる。

「でも、二人ともよく似てる……」

「そりゃあAは私の姉の子だもの。似ていて当然だわ。

 Aのお母さんはね、背が高くてやせていて、私からみてもきれいだった。でも無個性だったの」

 後ろのキャンドルが舌打ちする。

「姉だけだった。私も親も個性を持っていたのに、姉だけ無かった。

 でも、元々明るい人だったからプロヒーローの旦那さんと結婚できた。

 それが悲劇を生んだの。

 今の時代、ヒーローは輝かしいものよ。だけど殉職するのも一番早いわ。旦那さんは姉が身ごもっている間に亡くなってね。

 そして生まれたのがAだった」

 キャンドルの炎がシュッと小さくなる。

「出産のとき私も立ち会ったけど怖かったわ。なんせ産声が聞こえなかったから。障害者と聞かされた姉も最初は絶望したの。

 でも、持ち前の明るさで頑張って育てようとした……したのよ」

 短い沈黙。

「四歳まで育つと個性がはっきり現れるのは知ってるでしょ? だけどAの個性は分からなかった。

 何度も医者に診てもらったけど、足の小指に関節はないのに一向に現れなかった。

 姉は知らなかったの。すでにAが千里眼を持っていることを。

 まだ言葉を書けなかったAは伝えられなかったのよ。

 姉は焦りと不安を抱えたわ。無個性が子供に引き継がれてしまった。その上声も出せないんじゃこの子はどうやって生きていけるのか……無個性の母親と一緒に。

 超人社会が普通になりかけている世界で少数派の無個性は肩身が狭いのよ。


 そして姉は蒸発した。


 Aに、追いつめられた手紙とささやかなお金を持たせてこの店に置いていき、姉は消えたの」

 音をたててキャンドルの火が消えると、常闇は驚いて振り向いた。

「あらごめんなさい。私の個性、炎を操るものだから。親とは全く違う個性だけど。

 うちの親は目にゆかりのある個性でね、だからAも千里眼を持ったのでしょう」

「……Aは、これを知ってるんですか」

「知っているわ。まあ、あの子は耳がいいから話す前にどこかで聞いていたかもしれないけど」

 そのときドアの開く音がした。

 ───Aが立っていた。

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ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時

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