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夕日の教室 ページ4

Aが来て二日目。今日は座学だけで七校時終わった。

 そして、俺がトイレにいって教室に戻ってくると誰一人としていなかった。毎日思うが帰るの早すぎだろ。

 もう夕方か、なんて窓を見たら机に影があった。確かあそこの席は……

「おい、千里。なに寝てるんだ」

 声をかけたが返事はなし。うずくまっている彼女の顔はあっちを向いていて見えなかった。

 さすがに起こさないとまずいか。

 そう思って肩に触れた瞬間、Aが飛び起きた。あの、居眠りしてるときになるピクッて感じで。

「だ、大丈夫か?」

 目をこすりながら彼女はこくんとうなずいた。そしてスケッチブックの一番後ろを開く。

 ごめんなさい

「いや、謝る必要はない」

 俺は近くの椅子に座った。

「どうだ、ここの生活は」

 一呼吸おいてからAは書き出した。

 とっても楽しい みんないい人

「そうか、よかった……そういえば、どうしてここに転校してきたんだ?」

 入りたかったから

「? 試験は受けてないのか」

 Aはうなずいた。

 おじいちゃんに反対された

 だから入試は受けてない

 でも説得して入らせてもらった

「よくできたな。試験大変だっただろ」

 臨時編入だと試験が難しい、というか入れるわけない。きっと俺たちのよりヤバイものをしただろう。

 なんとか合格もらった よかった

 俺は思わず退いた。なぜってあれ以上のものクリアできるとか、もはや人間じゃない。

 Aは悲しい顔をした。

「そ、そんな顔するな。別に嫌ったわけじゃない。少し驚いただけだ」

 がんばった ヒーローになりたいから

 そしていじめをなくしたい

「お前、俺が助けた後も……」

 Aはうなずく。俺はうつむいた。

「俺も、こんな姿だからよくいじめられたんだ」

 えっ、というようにAはこちらを向いた。

「一部分だけ人間じゃないと目を引いてな。特に俺は目付き悪いし」

 常闇くんの個性は?

「個性か。少しくらい大丈夫か。黒影」

 呼ぶと「アイヨ!」と威勢よく出てきた。Aも最初は戸惑っていたが、黒影が近くにくるとそっと頭をなでた。

「こいつは黒影(ダークシャドウ)。俺の体に宿ってるやつだ」

 両手がふさがっているAは、可愛らしい笑みを浮かべた。夕日のせいか妙にドキリとする。

「千里、お前の個性は何なんだ?」

 すると黒影から手を放してペンをとった。


 千里眼

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ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時

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