路地裏の黒い影 ページ17
ドン、という音と共に蛇男とワイシャツの第1ボタンがとんだ。
目の前を黒とも紫ともつかない物体が横切る。それに見覚えがあった。
路地裏の入り口には黒影を率いる常闇の姿。
どうして……? もう帰ったんじゃないの?
そこでAは一粒、涙を落とした。
「そいつから離れろ。さもないと同じ目に合わせるぞ」
路地裏の暗がりで黒影は大きく威嚇する。
しかし男二人は脅しにひるむことはなく、Aを後ろへ追いやると、常闇に襲いかかった。
決着は一瞬でついた。
暗いところで黒影に勝てるはずもなく、二人は地面に転がった。
「何だこいつ、バケモノだ!」
「おいっ、逃げるぞ」
二人はのびている蛇男を引っ張って路地の奥に消えた。
「A、大丈夫か?」
常闇が駆け寄って顔をのぞきこむと、そこにはどうして? という問いが現れていた。
落ちているブレザーをAの肩に掛けながら、常闇は言う。
「今、緑谷たちとここらをまわっていたんだ。駅前に新発売のリンゴパイがあるって聞いてな。
そしたらお前が一人で歩いていく姿を見かけて、追ってみたらこの状態だ」
体を縮ませるAの腕に触れれば、ふるふると震えていた。
どうして?
どうして私を助けたの?
助けての言葉はあなたに届かないはずなのに。
「ありがとう」も口からでることはないのに。
みんなにとって迷惑でいらない存在の私に……
「ごめんな。怖かったよな。
もう、大丈夫だ」
どうしてそんなに優しくするの……!
嫌い! 常闇くんなんか大嫌い! あなたは他の人とは違う! 違うのよ!
Aはバッグを拾い上げると何も言わずにわきを走り抜けた。
残った常闇は、すれ違いざまににらまれた意味も、そのこぼれた涙の意味も知らないまま、一人路地裏に立ち尽くしていた。
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ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時