検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:49,998 hit

戦闘演習3 ページ7

暗い部屋を一つ目ライトが照らし、光が壁に反射する。

(見つかりませんように)

 Aはそう願ったが、ロボの動く音は近づいてくる一方だ。

「見つかっちゃうよぉ」

 芦戸が震える声で言うと緑谷はいや、と口を開いた。

「これはむしろ千里さんの個性が分かるチャンスかもしれない」

 常闇は一人、胸が押し潰されそうな心地になった。


 千里眼で戦えるわけがない。


 あんなに細いのにどうやってロボを倒せる? これでは無傷でクリアなど到底出来ない。

 そんな思いとは裏腹に、ロボはAが隠れている物陰に向かった。

 見つかる……見つかる!

 A組はごくりとつばを飲み込んだ。

 目を閉じているAは、ロボがいつこちらを振り向いて見つけるか、千里眼で時機を見定めていた。

 そして、くるりとロボの光がAに向いた瞬間、思いっきり蹴りをいれた。ロボはその一撃でボロボロになり、赤い光で警報を鳴らす。仲間を呼んでいるのだ。

 警報の意味を悟ったAは急いで部屋を出たが、既に二体のロボが廊下を走ってきていた。対象を確認すると早速ビームを放つ。

 Aはヒラリとよけると、低い体制で太ももにあるカトラリーボックスからフォークを取りだしサッと投げた。

 真っ直ぐとんで命中すると、ロボは電気をもらしながら動かなくなった。

 反対の太ももからはナイフを出し勢いよく放つと、二体目もギギ、と壊れてしまった。

 さらに、3階への階段方向からひとまわり大きいロボが現れた。

 すぐにビームを発射してきたが、Aは壁を蹴ってよけながら前進し、その勢いのままロボにひざ蹴りをくらわした。

 モニターに映るロボは黒煙をあげてこなごなになっていた。

「すごいわね。動きがキレッキレだわ」

 梅雨が言うと、麗日が緑谷を見た。

「なんだかデクくんみたいだね」

「……いや、僕よりずっとすばやいよ。そうすると個性は身体的なものかも。力を増幅させたり、一部分だけ活性化させたり……」

 周りが考え込む中、常闇は舌を巻いていた。

 なるほど、どうりで試験に合格するわけだ。

 これだけ戦えて千里眼も持っていたら最強だな、と心配もなくなり、一人安心した。

 一通りの戦闘を終えたAは、走って3階への階段に向かった。

戦闘演習4(相澤センセー)→←戦闘演習2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。