戦闘演習3 ページ7
暗い部屋を一つ目ライトが照らし、光が壁に反射する。
(見つかりませんように)
Aはそう願ったが、ロボの動く音は近づいてくる一方だ。
「見つかっちゃうよぉ」
芦戸が震える声で言うと緑谷はいや、と口を開いた。
「これはむしろ千里さんの個性が分かるチャンスかもしれない」
常闇は一人、胸が押し潰されそうな心地になった。
千里眼で戦えるわけがない。
あんなに細いのにどうやってロボを倒せる? これでは無傷でクリアなど到底出来ない。
そんな思いとは裏腹に、ロボはAが隠れている物陰に向かった。
見つかる……見つかる!
A組はごくりとつばを飲み込んだ。
目を閉じているAは、ロボがいつこちらを振り向いて見つけるか、千里眼で時機を見定めていた。
そして、くるりとロボの光がAに向いた瞬間、思いっきり蹴りをいれた。ロボはその一撃でボロボロになり、赤い光で警報を鳴らす。仲間を呼んでいるのだ。
警報の意味を悟ったAは急いで部屋を出たが、既に二体のロボが廊下を走ってきていた。対象を確認すると早速ビームを放つ。
Aはヒラリとよけると、低い体制で太ももにあるカトラリーボックスからフォークを取りだしサッと投げた。
真っ直ぐとんで命中すると、ロボは電気をもらしながら動かなくなった。
反対の太ももからはナイフを出し勢いよく放つと、二体目もギギ、と壊れてしまった。
さらに、3階への階段方向からひとまわり大きいロボが現れた。
すぐにビームを発射してきたが、Aは壁を蹴ってよけながら前進し、その勢いのままロボにひざ蹴りをくらわした。
モニターに映るロボは黒煙をあげてこなごなになっていた。
「すごいわね。動きがキレッキレだわ」
梅雨が言うと、麗日が緑谷を見た。
「なんだかデクくんみたいだね」
「……いや、僕よりずっとすばやいよ。そうすると個性は身体的なものかも。力を増幅させたり、一部分だけ活性化させたり……」
周りが考え込む中、常闇は舌を巻いていた。
なるほど、どうりで試験に合格するわけだ。
これだけ戦えて千里眼も持っていたら最強だな、と心配もなくなり、一人安心した。
一通りの戦闘を終えたAは、走って3階への階段に向かった。
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ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時