Unrequited Love【兵頭十座・碓氷真澄】 (ページ4)

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花咲学園に入学して、最初に隣の席だった人。

それが真澄くんだった。

私の一目惚れで、気づいたら目で追っていた。

でも彼は女子に興味なんてないようで、私にチャンスなんて微塵もなかった。

だから、見てるだけでいい。

想いは伝えられなくても。

そんなとき、真澄くんに変化があった。

携帯を開くたび、なんだか嬉しそうな顔をして。

もしかして、彼女ができたのかもって。

そりゃそうだ。彼ほど顔が整っていたら、いない方がおかしい。

それから数日経ち、一人暮らしを初めてから連絡を取っていなかった姉から当然電話が。

なんでも、劇団の総監督になってしまい人手が足りないから手伝ってほしいと。

姉の事は好きだし、二つ返事で家を出た。

MANKAI寮に着いた時、迎えてくれたのは、お姉ちゃんと春組と呼ばれる皆さん。

こんなことってある？

『碓氷くん！？』

真「…誰？」

私は真澄くんに名前さえ覚えられていなかった。

それに、

い「あれ、知り合い？」

『えっと、同じクラスで』

真「知らなかった。でも監督の妹なら俺の家族も同然。よろしく」

『…え…？』

綴「コイツ、監督のこと好きみたいで、あんまり気にしないで下さいね」

真「監督は俺のすべて」

『…そう、なんだ』

彼の好きな人は私の姉だった。

私の方が早く出会っていたのに、彼からしたら私はただの他人。

『…よろしく』

私の方が好きなのに。

こんなのってないよ。

あの日から私の恋は終わっている。

どうやったって掴めない幸せだから。

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