Unrequited Love【兵頭十座・碓氷真澄】 (ページ20)

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静かな空間に雷の音が響く。

そもそも、二人とも喋るタイプではないので自然と沈黙が続いてしまう。

こんなときに、一成くんがいてくれたら…！

私は必死に頭の中で話題を探した。

『そういえば、私とお姉ちゃんがまだ小学生の時に家で留守番しなくちゃいけないときがあって』

真「…………」

真澄くんは黙って聞いてくれている。

『その時タイミングが悪く、すごい豪雨で、雷も鳴ってて、小学生の女の子二人にはすごく怖くて、ずっとお姉ちゃんと耳塞いで押入れに隠れてたなぁ…って思い出しちゃった』

真「小学生の頃の監督…」

『それがあってから、お姉ちゃん雷がトラウマで今だに怖いみたいだよ？』

真「……っ！？」

『…真澄くん？』

私がお姉ちゃんの話をした途端、真澄くんの顔色が変わった。

真「監督が怖がってるかも、今すぐ戻らなきゃ」

『いや、でも傘もないし。それに、寮には他の皆もいるから大丈夫だよ』

真「監督が他のやつに弱味見せるなんて考えられない。Aは雨が止むまでここで待ってて。俺だけで戻るから」

『でもっ！』

真澄くんは、私の声なんて聞こえていないかのようで。

『真澄くん！』

雨のなか、教会を出て、走り去ってしまった。

『…行っちゃった…』

今思えば、何も喋らない方が良かった。

私が、あんな話なんてしなければ。

『あの日のことがあってから、私も雷がトラウマなんだよ…？』

やっぱり、どうやってもお姉ちゃんには勝てない。

私の方が真澄くんのこと好きなのに。

私の方がずっと想ってるのに。

でも、それ以上に真澄くんはお姉ちゃんが好きなの…？

『…一人にしないで』

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