Unrequited Love【兵頭十座・碓氷真澄】 (ページ15)

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. 十座side

摂津に呼び出され、倉庫で待っていると

摂津とAがやって来た。

なんとなく声をかけられずにいると、摂津が出ていき

二人で閉じ込められると言う構図ができあがってしまった。

災難だね、と笑う彼女。

少し複雑な気持ちだ。

ふと、スマホを開くと摂津からLIMEが来ていた。

万里頃合い見て戻ってやっから上手くやっとけよヘタレ野郎

『どうしたの？』

十「…いや、なんでもねぇ」

少しの間、沈黙が訪れて

その後もありきたりな会話しかできないでいた。

『あっ、この間はありがとう。誘ってくれて！』

十「いや…むしろ着いてきてくれて助かった」

『甘いもの好きなのは意外だったな～、ギャップ萌えってやつだね』

十「…また、誘ってもいいか？」

『もちろん！私で良ければ！』

ここが暗い場所で良かった。

きっと今、俺の顔は赤いだろう。

でも、今がチャンスな気がした。

何かできるとしたら、今しかない。

俺は恐る恐る口にした。

十「…あの、」

『？？』

十「手、握ってもいいすか」

『……へ…』

固まったまま動かないA。

もしかしたら、嫌だったんじゃないか。

俺は咄嗟に嘘をついた。

十「あっ、いや…こういうとこ落ち着かねぇから」

『あっ、うん。いいよ』

Aは少し安心したように俺に手を差し出した。

俺より何倍も小せぇ手。

自然と俺は何も話せなくなっていた。

『………』

十「………」

それくらい、今の俺にはこれが精一杯だった。

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