いつの間にか求婚を承諾していた【竈門炭治郎】

宴会。 ページ35

新米隊士のみで行われる宴会には、20名弱程の隊員が参加していた。善逸が言っていた通り、玄弥も伊之助もカナヲも出席していなかったが、来るのでは、と言われていた炭治郎も姿が見えない。恐らくまだ任務が完了していないのだろう。


「善逸、これ私たち二人がいびられまくる感じだよね、多分」

「もう俺帰りてぇ〜ッ。女隊士一人くらいいるかと思ったのにお前以外居ないのかよ！！」


元々女隊士という存在自体少ないことには少ないのだが、一人も居ないとは驚いた。あくまで推測だが、この宴会の場では女性への扱いが殊更雑というか、酷い有様になっているのだろう。それを一年目で経験、もしくは又聞きして不参加、というのが大体の流れか。

どうやら私はとんだはずれくじを引いてしまったらしい。これなら、任務に出掛けていた方がよほどマシだ。


「さて、人数も揃ったところで乾杯の挨拶といきましょうや。さてわたくしが、今回の宴会の幹事を務めさせて頂きます、階級庚、島村清と申します」


同期同士でだらだらと駄弁るだけの雰囲気になっていたところ、幹事だという隊士が酒を片手に立ち上がって大きな声でそう言うと、皆しんとなってそちらへ体を向けた。宴に不慣れな私と善逸もそれにならって口を閉じ、その隊士の方を向く。見たこともない隊士だった。


「皆様本日はお忙しい中お集まり頂きましてありがとうございます。今回の会は、日頃悪鬼滅殺に励む新米隊士のため、産屋敷耀哉様により設けられた親睦の場で御座います。顔合わせが初めての隊員も多くいることでしょう。今宵は暫し戦いより離れ、互いの日頃の健闘を称えあうも良し、明日より続く悪鬼殲滅の道を語らうも良し、与太話で騒ぐも良し、この機会に親睦を深め合おうではありませんか。それでは、乾杯の音頭を取らせて頂きます。皆様御手元の硝子杯(グラス)を今一度お取りになりまして......

それではご唱和下さい。我々鬼殺隊の更なる栄光と、本日お集まり頂きました皆様が悪鬼殲滅の道への益々の御貢献、明日よりの輝かしい御戦功の屹立を祈念致しまして____乾杯！！」

「かんぱーい！！」


言葉と共に待ってましたと言わんばかりに酒を飲み干す他の隊士らを見やった私と善逸は、引き攣った顔で会場を見渡し、最後にお互いに目を合わせて、この宴が長くなる予感を察知し、ひとつ溜息を零して、二人で小さく杯を合わせあったのだった。

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