誤解。 ページ18
「は?」
私と善逸、そして炭治郎の声が重なった。炭治郎は「えっ?」くらいの語尾が優しい疑問形だったけれど。それもそうだろう、“番った”などと形容されたのは、私と善逸だったからだ。
「えっ、いや、どういうこと?」
「てめえら知らねえのか?雄と雌が番った後はなぁ、やたらと同じ匂いがぷんぷんすんだぜ!てめえらめちゃくちゃ同じ匂いじゃねえか!!俺様には分かる!!」
「はあ!?いやっ、それだけで断定すんなよ!!マジでそんなことしてねぇし!!」
「じゃあなんでサダコとてめえが一緒の匂いさせてんだよ!!」
伊之助は私のことをサダコと言う。よくは分からないが、雰囲気がサダコという名前っぽいから、らしい。本名に掠ってすらないけど、まぁいいかと思ってそのままにさせているから多分私が悪い。
「つか、俺より健太郎の方が分かんだろ。こいつらぜってぇ番ってやがるぜ!」
健太郎、は炭治郎のことを指しているのだろう。それは分かるが、番ったとは本当に何事か。同じ匂いがする、ってなんだ。さっきまで確かに一緒には居たが、匂いが移るほど近くに居た訳じゃない。
理由が分からず私はただ黙っていると、伊之助に話を振られた炭治郎が静かにこちらを見やった。
「......そうだな。同じ匂いがする」
「へぇっ!?た、炭治郎まで何言ってんの!?俺たち本当にそんなんじゃないからね!?てか同じ匂いするってなんだよ、禰豆子ちゃんに誤解されちゃったらどうしよ!!Aお前今すぐなんか違う匂い付けろ!!」
「何無茶言ってんの......」
同じ匂いなんてするだろうか。すん、と隊服の裾の匂いを嗅いだところ、その手首を急に掴まれてぎょっとした。市松模様が目の前をちらつく。
「違う匂いを付けに行こう。A、おいで」
「へ......」
「すまない、善逸、伊之助。お金はここに置いておくから、お勘定の方は済ませておいてくれ」
「えぇ......あー、はい。どうぞ、ゴユックリ」
炭治郎はあくまで優しい声で「行こうか」と言ってくれたが、その顔までは視認出来ない。引っ張られるように店の外へ連れ出され、ふと私の分のお金を払わなければと思って振り返ったが、炭治郎が渡したお金の中に私の食べた分も含まれていたらしい。
(え、な、なんか怒ってます......?)
✿*✿*❀٭✿*❀٭✿
「コエ〜......炭治郎コエ〜......」
「あいつなんであんな怒ってんだ?意味わかんねぇ」
「九割九分お前が悪い!!」
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さざんか(プロフ) - 外で思いだすだけでキュンキュンして泣きそうになります…素敵な作品をありがとうございます!新作アンケも失礼しました…! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 久しぶりに心から焦がれる素晴らしい作品に出会えて嬉しいです^ - ^本格的に冷え込む季節となりましたので、体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ.更新を心待ちにしております (2020年11月13日 0時) (レス) id: e9e3f41ae9 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、めっちゃ面白いです!!すごくキュンとしますっ/// 炭治郎の態度の急変…切ないです(泣)続き気になりすぎます…!!続編も全集中で拝読したいです(*^▽^)/★*☆♪応援しております!! (2020年11月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新大変だと思いますが、とても楽しみにしています。これからも応援していますね。新作アンケート…冨岡さん好きなので、お願いしたいです。 (2020年11月7日 6時) (レス) id: 91f917202d (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 久々にドキドキする話でした、、続き楽しみです! (2020年11月6日 20時) (レス) id: f83c25335c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年10月24日 12時