熱望。 ページ10
そこからは少し胡蝶様と普段の修行のことや、軽い世間話をさせて頂いた。なんだか、あまりに綺麗だから勝手に苦手意識を持っていたけれど、こうやって改めてお話してみるとすごく落ち着く......
私には兄弟姉妹が居なかったから分からないけれど、胡蝶様はお姉さんという感じがする。なんだか、とても気持ちが和らぐ。
「お話して頂いてありがとうございました。師範にも伝えておきます」
「いえ、こちらこそありがとうございました。あぁ、それと......」
胡蝶様は最後に私の耳元へ近づいて、小声でこう仰った。
「炭治郎くんととっても仲が良いのね」
「え......」
胡蝶様はただにっこりと笑って、私の後ろにいる炭治郎に「炭治郎くんも、Aさんをここまで案内して来てくれてありがとう。私の代わりに、Aさんを出口までお見送りしてくれますか?」と言った。
ただ黙って私の後ろで待ってくれていた炭治郎は「はいっ!」と一言返事をして、再度私の手を取った。そこで気が付いた。私は胡蝶様の視界に入る前に炭治郎の手を離したつもりだったけど、胡蝶様には私たちが恋人繋ぎをしていたのが見えていたんだ......
『とっても仲が良いのね』
かっと顔が熱くなって、恐らくあらぬ誤解をされている蟲柱を振り返り、「あのっ」と切り出したが、続きの言葉が出てくる前に炭治郎に連れ出されてしまった。
胡蝶様は、最後までずっとにこにこと笑顔を浮かべていた
✿*❀✿*❀٭✿*❀٭✿
「炭治郎、離して」
そう一言吐き出すと、炭治郎はすぐにぴたっとその場で止まって私の手を離した。くるりと振り返った炭治郎は真顔だった。不思議そうにするでもなく、笑うでもなく、ただただ真顔。無表情に近いのだろうか。
「ねえ炭治郎、炭治郎の好きって、どういうこと?」
「え?」
「炭治郎は一昨日、私に好きって言ったよね。今日も。一昨日は、一番好きって、言った。それってどういうこと?どういう好き?仲間として?私、分からないの。炭治郎が私に言う好きって、善逸や、伊之助に対して持ってるものと同じ?」
「......そうか。伝わって、なかったのか」
炭治郎はそう呟いて、少し考え込むように俯きながら、衝撃的な発言をした
「求婚を受け入れてもらったから、てっきり伝わっているものだとばかり......」
「えっ、はぁ?」
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さざんか(プロフ) - 外で思いだすだけでキュンキュンして泣きそうになります…素敵な作品をありがとうございます!新作アンケも失礼しました…! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 久しぶりに心から焦がれる素晴らしい作品に出会えて嬉しいです^ - ^本格的に冷え込む季節となりましたので、体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ.更新を心待ちにしております (2020年11月13日 0時) (レス) id: e9e3f41ae9 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、めっちゃ面白いです!!すごくキュンとしますっ/// 炭治郎の態度の急変…切ないです(泣)続き気になりすぎます…!!続編も全集中で拝読したいです(*^▽^)/★*☆♪応援しております!! (2020年11月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新大変だと思いますが、とても楽しみにしています。これからも応援していますね。新作アンケート…冨岡さん好きなので、お願いしたいです。 (2020年11月7日 6時) (レス) id: 91f917202d (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 久々にドキドキする話でした、、続き楽しみです! (2020年11月6日 20時) (レス) id: f83c25335c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年10月24日 12時