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「なんっやお前、泳がんのかい!しょーもな!」
「しょーもなって……」
顔を合わせるなり侑くんに酷い言葉を言われた。
「お前鈍臭いからな、泳ぐの下手そうやしそれ見て笑ったろーおもてたのに」
「すごい生粋のいじめっ子みたいなこと言うね」
「ちゅーか水着も持って来とらんのかいな。おもんないから着てこいや」
「嫌だよ、泳ぐ気ないし」
「なんでやねん」
「……水着、中学の時のやつだから恥ずかしい」
あと泳ぐのも上手くない。
そう言うと、侑くんは新しいおもちゃを見つけたいたずらっ子のような顔でニヤ〜っと笑い、「おい治!こいつ水着中学ん時のやつらしいぞ!」と何故か治くんに謎の報告をした。それを聞いて、既に50メートルほど泳ぎきって頭からずぶ濡れになった治くんが「は?」という声を零してこちらに詰め寄ってきた。なになになに怖いやめて
ひぇぇと後ずさる私にぐいっと迫る治くんは真顔でこう言い放った
「見たい」
目をかっぴらいて、老人が腰を抜かしそうなくらい綺麗な顔で何を言うかと思えば。
全く見たい理由が分からないけど、私は反射的に「無理」と返していた。
「なんでなん」
「逆に見たいっていう発想になるのがなんでなの」
「絶対おも……かわええやん」
「おもろいやん、って言いそうになったのバレバレだからね」
「……絶対あかん?」
すると治くんは上目遣いで、またあの子犬のような顔で私をぐっと見つめてきた。
こうなると私は本当に弱い。なにしろ治くんはとにかく顔がいい。しかも纏うオーラがどことなくわんこくさいので、犬派の私はたまったもんじゃない。とにかく私はこの顔の治くんに弱かった。
「俺、Aとプールに入るん楽しみにしとった……」
更にトドメで少し悲しそうな顔をされると、もう飼い主を渇望する捨てられた子犬にしか見えない。胸の奥がきゅんきゅんして、ぐぬぬと唇が震える。
「……き、気が、むいたら」
「ほんま!?絶対やで、後でな!」
まって絶対着るとは言ってない。
そう言おうとしたのに治くんはとっととプールに飛び込んで物凄い勢いでメニューをこなし始めた。侑くんも「待てゴラ競走じゃああああ」と追いかけて行ったけど、北さんに「プールサイド走んな」と叱られていた。
あぁ、治くんに弱いの、本当になおさなきゃなぁ……
❥⃝
『お前、絶対あの顔わざとやっとるやろ……』
『A、あの顔したらチョロいねん』
『俺よりお前の方が大人しい思われてんのがほんま納得いかん』
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亜莉沙(プロフ) - すごい続きが気になる終わり方...! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 363b9c8c34 (このIDを非表示/違反報告)
みやすなすー - 続き見たかったよぅっ…! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず。(プロフ) - 子さんの書く夢主ちゃんと双子の掛け合いが可愛らしくて大好きです!更新楽しみにしています!お身体に気をつけてください! (2020年4月20日 3時) (レス) id: 6fdce1ba75 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - 大好き過ぎて更新楽しみにしてます!笑 (2020年3月21日 0時) (レス) id: 0a5ad8d0ef (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 更新お疲れ様です!私も見る専です!笑 (2020年3月20日 16時) (レス) id: 94878ef260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年3月15日 0時