突撃。 ページ9
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「りんど〜、今日話しかけてきたオンナの制服ってなんて高校のだっけ?」
自宅にて、ソファに体を投げ出したまま、風呂から上がってきた弟にそう尋ねると、はぁ?という驚いたような声が返ってきた。そしてすぐに片眉を寄せて嫌そうな顔をする、我が可愛い弟。
「……知ってどうすんだ?」
「んー、今日のコ口説きに行く♡」
「は!?兄貴アレを気に入ったのか!?」
さあ?と肩を竦めるオレを、心底呆れた目で見つめる弟は、眉尻をぴくぴくさせながら暫くこちらを伺っていたが、こちらの目に冗談が灯っていないところを見て、はぁと肩を落とすようにわざとらしいため息をついた。
「……白鳥女学院」
「ドコだっけそれ」
「目黒のあたり」
「へー、今から会いに行こっかな」
「やめとけ。あれ相当箱入りだろ」
なんでまたあんなん気に入ったんだよ、と隣に腰を下ろして怪訝そうに尋ねてくる竜胆。この弟は、普段の行いのせいとはいえ、オレを異性関係において毛程も信用していない。少し人聞きが悪過ぎるくらいに。
「んーなんでだろ?」
「どうせ珍しいからつまみ食いしたくなっただけだろ」
「かもね」
「ああいうのは妊娠させたら親が黙ってねーから避妊はちゃんとしろよ」
「竜胆〜、オレのことなんだと思ってんの?」
一応兄貴だぞ?と言うと、兄貴だからだよ、と言い返された。
なんとなくはぐらかしてしまったが、あの女に心の何かが引っかかっていたのは紛れもない事実だった。久しく覚えていなかった、高揚にも近い感覚に指先が、心臓が、妙に熱を持った。あのままどこかへ連れ込んでしまおうかと本気で考えるくらいには、確かな熱だった。
(A、ね)
舌の奥でその名前を転がし、その艶のある、ひとつも染髪料の絡んだことのなさそうな黒髪に触れた指先を眺める。いじらしく頬を染め、睫毛に目を伏せ、初めて食べたというだけの甘味を頬張って嬉しそうに笑った女の顔が、頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
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名無 - 神すぎる。占ツクでここまで完成度の高い作品は久々に見ました。 (2022年2月13日 13時) (レス) @page25 id: 918f2226ec (このIDを非表示/違反報告)
桜妃(プロフ) - 作者様語彙力ありすぎでは…!?更新楽しみにしてます! (2021年9月6日 3時) (レス) id: 16f20e3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - はじめまして…こんなに作品に引き込まれたのは初めてです;;主様のペースで更新楽しみにしております! (2021年8月26日 12時) (レス) id: de92cbd6b8 (このIDを非表示/違反報告)
しいい - すごく好きです!続き楽しみにしてます!! (2021年8月26日 1時) (レス) id: 69df95b685 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大っ好きです!蘭ちゃん…可愛すぎる…更新楽しみにしてます\(//∇//)\応援してます! (2021年8月25日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2021年6月30日 23時