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「ご、ごめんなさい、ついはしゃいでしまって……」
「いえいえ!お客様がとっても可愛らしいので、微笑ましくなってしまって!彼氏様は幸せ者ですね」
「へ?かれ、し?」
一瞬誰のことを指しているか分からなかった。しかしすぐに自分に付き添ってくれていた人物が異性であることを思い出し、私はばっと顔の前で手を振った。違います!と声を張って、可愛らしい店員さんの言葉を真っ向から否定する。
「あ、あの方はその、つ、付き添いみたいなもので!」
「わぁ、それはたいへん失礼致しました。確かにご兄妹のようにも見えますね」
ニコニコと言い放たれた言葉に、ちくりと胸をつつかれたような気がした。兄妹……私がおぼこくて、蘭さんはとても大人びていらっしゃっるから、そう見えるのも仕方ない。改めて自分が、世間から見ればまだまだ子供で世間知らずなことを思い知らされた。
「ちなみに、お客様は本日は何をお求めにいらっしゃったのでしょうか?」
「あ……えっと、アクセサリーです!こちらにはアクセサリーは売っていますか?」
いけない、色んなものに目移りしてしまって目的を忘れるところだった。店員さんはニコリと微笑んで「ありますよ。こちらです」と、店の少し奥の方に案内してくれた。そこには私の夢にまで見た光景が広がっていて、またまた私は「わぁ〜……!」と、先程受けたささやかなショックなど忘れるほど驚嘆の声を上げたのだった。
思わず蘭さんの方を振り返って、少し離れたところにいる彼に「蘭さん蘭さんっ」とはしゃいだ声を浴びせてしまう。
「すごく可愛らしいものが沢山あります!すごいっ、本で見た通りです!」
「……そーなの?」
ふ、と柔らかく笑った蘭さんに、はい!と笑顔で返した。彼はこちらにつかつかと歩み寄ってきて、店員さんに「あとは2人でゆっくり見るね〜。ありがと」と軽く声をかけていた。すらりと顔の整ったスマートな青年にそう言われ、ほんの少し照れ臭そうにした店員さんは「はい」と返事をしてそそくさと奥に引っ込んで行った。
正直、あまり異性とは関わりがないから基準があやふやだけれど、蘭さんはやっぱり傍から見るとかっこいい人、なのよね……髪型やファッションセンスは独特だけれど、それを自分のモノにして着こなすセンスを持ち合わせている。言われるがままのものを身に纏う私とは違う。
「気に入ったんならここら辺のやつ丸ごと買えば?」
「な、何を言ってるんですかっ!貴方は金銭感覚がちょっとおかしいですよ!」
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名無 - 神すぎる。占ツクでここまで完成度の高い作品は久々に見ました。 (2022年2月13日 13時) (レス) @page25 id: 918f2226ec (このIDを非表示/違反報告)
桜妃(プロフ) - 作者様語彙力ありすぎでは…!?更新楽しみにしてます! (2021年9月6日 3時) (レス) id: 16f20e3b96 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴ子(プロフ) - はじめまして…こんなに作品に引き込まれたのは初めてです;;主様のペースで更新楽しみにしております! (2021年8月26日 12時) (レス) id: de92cbd6b8 (このIDを非表示/違反報告)
しいい - すごく好きです!続き楽しみにしてます!! (2021年8月26日 1時) (レス) id: 69df95b685 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 大っ好きです!蘭ちゃん…可愛すぎる…更新楽しみにしてます\(//∇//)\応援してます! (2021年8月25日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2021年6月30日 23時