あゝ美しき恋情【月島蛍】 (ページ6)

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恋情6 ページ6

「でも、やっぱり兄弟っていうのが、お姉さんと月島を苦しめると思います」

「うん。はじめのころ…好きになったのは蛍が中一だから、13歳の時か。蛍の幸せとか、父さんとか母さんとかの気持ちとか、姉弟じゃなければ、って思ったことも正直ある。」

「歳の差とか、同性とか。それよりずっと世間の目は厳しいじゃないですか。歳の差だって4歳だし、異性なのに、同じ母親から生まれたってだけで…って思いました。僕も」

「でも、もし姉弟じゃなかったら、蛍と出会ってなかったかもしれないんだよね。そう考えたら、出会えた今はすごく幸せなんじゃないかって。しかも、1番近くにずっといられたから」

都合がいい考えかもしれない。でも、

「ただ、好きなだけなんです。たまたま姉弟だっただけで」

「月島にも熱い気持ちがあったとはなあ！」

「日向に熱いとか言われたくないんだけど」

「ここからは、みんなより少し先に生まれた人として一つだけ。これから、君たちはいろんな困難に直面する。自分はいけないことをしてないのに、白い目で見られることもある。恋愛だけじゃなくてね。そんな時に、どの選択をするか。どうやって乗り越えるか。これは人それぞれでいいと思う」

「人それぞれ？どういうことですか？」

「うん、例えば、私と蛍みたいになった時に、気持ちを押し殺して生きることにするのも、気づかないふりをするのも、私たちみたいにするのも。一つ一つが大切な選択で、その選択の積み重ねが人生なんだよ。小さな選択から大きな選択まで色々。後悔しないことなんてない。でも、後悔はしても、あとで胸を張れる人生を歩んでね」

そう言って笑った姉さんはとても大きな背中をしていた。