塵が積もり過ぎて富士山になりました。【ハイキュー】 (ページ2)

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「ねえ、見て見て！あの子可愛くない？」

学校に向かう途中、すれ違ったOLらしき女性2人がそう話すのが聞こえた。

同時に僕を見る視線を感じる。

「ねー！私も思った！…でも、何で男装してるんだろ？」

『…男装じゃなくて僕、男です』

くるりと振り返ってそう言うと、2人の女性は驚いたように目を見開いて「もったいなーい！」とか「絶対モテるんでしょー！」とか言って去って行った。

だから髪を切らせてって言ったのに…。

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〈昨日〉

『行ってきまーす』

「どこに行くの、紫苑」

小学校のときからずっと使っているショルダーバッグに携帯と財布だけ入れて家を出ようとしたとこを母さんに引き止められしまった。

マズイ。これは非常にマズイ。

『えっと…ちょっと明日の準備に必要な事』

「そう…まさか、髪を切りに行こう…なんて考えて無いでしょうね」

ギク。

母さんに僕の行動を読まれ、僕の心臓は今までに無いくらいの鼓動を感じる。

どうしよう…取り敢えず何とかして外にさえ出れれば何とかなる…！

『違うよ。ちょっと新しいシボールペンを買いに行こうと思って』

「それなら昨日母さんが買ってきておいたわよ」

『それから、筆箱を高校では変えたいなーって』

「今のもまだ使えるから必要ないでしょ」

『あ、今日漫画の新刊が出るから』

「今日本屋さんお休みなの知ってるでしょ」

母さんに完膚なきまでに論破されてしまい、外出する理由がなくなってしまった…。

「どうせ髪切りに行こうとした事くらい母さん分かってるわ。…絶対に切らせないから…！今日は外出禁止！！」

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そんな事を思い出しているうちに教室の前まで来ていた。

隣の席の子は髪ががオレンジ色で凄く目立っている。

日向君…か。

名簿を見ながらおや、と思った。

あのオレンジ髪で日向という名前…僕は1人この条件に合う子と中3の時に会っている。

『あの、おはよう。僕は三浦紫苑。日向君…だよね。どこかであった事ないかな？』

恐る恐る声をかけて見ると、振り返った彼はやはり僕の知っている日向君だった。

雪ヶ丘中学校の凄いジャンプを見せてくれた日向君だった。