全部、噂のせいだから。2【黒尾鉄朗】

うわさ73 ページ23

及川「さ、及川さんはそろそろ帰るね！」



黒尾「おー帰れ帰れイケメンとっとと退散しろー」



及川「ちょっとひどくない？！イケメンなのは間違いないけど！！」



15分ほど経った頃帰り支度を始めた及川くんと横から茶化す黒尾

なんとなく似た者同士な二人はあっというまに打ち解けたようだった。




貴女「及川くん、今日はありがとうねホント」




彼の荷物から落ちたタオルを拾い上げ手渡しをする。



及川「いいのいいの。


及川さん超優しいしイケメンだから！」




そういい浮かべた爽やかな笑顔はさすがの一言。



タオル越しに少し手が触れた。








及川「それにほら！Aちゃんとも出会えたわけだし！

プリンくんには感謝だよ」




無邪気さすらあるその笑顔




から一転



少し真剣になった眼差しに思わずドキッとする。




及川「運命かも」



貴女「え」




そのキザなセリフとあまりにもキレイな顔に私の思考は止まってしまった。




及川「なんてね！


あ！LINE交換しよーよ

東京帰ってからもいっぱい連絡してね



Aちゃんにはね〜


世界中の女の子が羨む及川さんの自撮りも送ってあげちゃう！」





茶目っ気のあるウインクと口ぶり


このたった1分の中でイケメンのテクニックをここぞとばかりに体験した気がする。





黒尾「あーはいはい、交換しなくていいですー

Aちゃんの近くには俺というイケメンがいますのでー


Aちゃんに交換するメリットがないのでー」




ビッと長い腕を私と及川くんの間に差し込んだ黒尾



及川くんと張り合うイケメンであるという自信に勇気あるな…なんて思いつつ



こじれそうなので口を噤む



及川「ふーん！及川さんのほうがイケメンだもんねー！！」


貴女「まあね」


黒尾「おい」



…噤めなかった



誤魔化すように視線をそらすと及川くんの満足げな笑い声が響く








LINEの友達に新しく加わった及川徹の文字



毎日がこんなに楽しくて、新しい友達もできて、





私宮城に来て本当に良かったかもしれない。

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